ブックタイトル森林のたより 768号 2017年09月

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概要

森林のたより 768号 2017年09月

日本の木の家ってどんな家?活かす知恵とを森林人57●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー講師●松井匠これは「めり込みと摩擦で力を逃す」というこれまでの耐震技術とは異なる考え方でした。●空き家に含まれる「古民家」の再生2013年の調査で日本の空き家率は13・5%と過去最高となり、2040年には43%になると予想されています。これからの日本の建築実務者は、空き家を再生利活用するための調査・設計技術が欠かせません。そして古民家も、その空き家に含まれているのです。さあ、いざ耐震改修をしましょう!というとき、ちょっと落ち着いて、じっくりとその建物を見てみましょう。とても綺麗に無駄のない架構になっていませんか?「昔の人が上手に木を使って家をつくっている」建物になっていませんか?そうしたら、そのやり方に則った耐震改修ができます。2000年には「限界耐力計算」という構造計算も法に定められ「めり込みと摩擦」の耐震性能を適切に評価できるようになりました。また冬は凍える古民家も、断熱改修によって古民家らしさを損なうことなく快適で省エネな家にすることができます。森林文化アカデミーの木造専攻では、こうした既存木造住宅の再生方法を学ぶことができます。また「木造建築病理学」による定量的な調査手法も身につけることができます。岐阜県に残る古民家の再生を実際に行いながら、適切な再生方法を選ぶことのできる設計実務者になって欲しいと願っています。市)」には鎌倉時代後期に伐採した木が使われていますが、この家には土間があり、茅葺き屋根で、太い柱と梁が組まれています。架構は、木と木を上手に削って、お互いに組むことでできています。日本は地震大国ですから、地震の際にはギシギシと揺れたり戻ったりしながら地震力を減衰させ「傾いても倒壊はしない」という工夫がされているのです。また、柱は石の上に「ちょん」と乗っています。石に乗せると、柱が腐りにくく長持ちするというわけです。「昔の人が上手に木を使って家をつくっている」のがよくわかります。●「古民家」と「二級建築士試験の木造住宅」の違いでは700年ほど経って、最近の木造住宅はどうなっているのでしょうか。二級建築士試験●黒い木組の家目を閉じて「家」という言葉を聞いたとき、皆さんの瞼の裏には、どんな「家」が思い浮かぶでしょうか。わたしは東京中野にある祖父の家が浮かびます。祖父の家は建築家の小川行夫氏が設計した「黒い木組の家」でした。幼少のころ、天井照明の細工や、リビングのカウンターにさりげなく立っている丸柱を見て「昔の人は上手に木を使って家をつくるんだなあ」と漠然と思いました。●日本の木の家ってどんな家?人類は「近くで採れる材料」を駆使して生活してきました。森林資源の豊富な日本では「竪穴式住居」の昔から「木」を使った家づくりがされています。日本最古の住宅「箱木千年住宅(兵庫県神戸の教材模型を買ってみました。斜めの材料が入り、木と木の接合には金物を使用していて、基礎コンクリートに土台を緊結すると書いてあります。こういった家のつくりは、明治24年に発生した「濃尾地震(推定規模M8・0)」を契機に普及しました。当時の学者や外国人建築家は「トラス構造」を用いて「建物を固くする」設計を推奨したのです。この構法は、金物や筋交いが大工の作業を簡略化したことや、構造計算が比較的容易ということもあり、だんだんと広まって、今ではすっかり主流となりました。柱や梁を見せない「大壁」の建物が一般的となったので金物も隠れ、構造材はベイマツなどの外国産となり、金物で緊結するので複雑な加工が要らず、プレカット工場で刻むことが可能です。「箱木千年住宅」外観日本最古の住宅と言われる建物。木の家の原型としてのヒントに満ちている。「箱木千年住宅」内観小屋組室内を見上げたところ。木と木を組んで架構ができている。二級建築士試験教材模型筋交いと火打、金物などの斜め材が多用されている最近の住宅の骨組み。金物で建物を固める木造住宅金物を用いた接合部。火打という斜め材で水平力を確保することもある。MORINOTAYORI 6