ブックタイトル森林のたより 768号 2017年10月

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概要

森林のたより 768号 2017年10月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0573ー26ー1111恵那農林事務所林業課まで丸太伏工の利用積極的な間伐を進めることで県内の木材需要を増やすことを目的に、林道工事においても県産材の利用促進が図られています。木製構造物のひとつである丸太伏工は、法面下部を丸太で被覆することにより草が生えることを抑制し、主に曲線部の視距を確保する目的で施工されはじめ、草刈り等の維持管理労力の軽減等に有効であることから、積極的な活用が図られています。しかし、開設後数年経過した路線では、植生が繁茂し始め見通しが悪くなっているところを見かけます。そこで、この丸太伏工の施工後の経年変化を調べ、丸太伏工の効果が何年程度持続するのか、また、効果を果たさなくなった丸太伏工の対策について検討しました。調査方法今回の調査は、森林基幹道三森山線の平成13年度?平成27年度開設区間において、経年変化と劣化の要因を調べるため、1丸太伏工への植生の進入状況(植被率)、2法面方位、3土壌含水比、4腐朽深さ、5丸太間の隙間を計測しました。また、経年変化が丸太伏工の効果に及ぼす影響を調べるため、曲線部での視距の低下状況についても調査しました。調査結果と考察これらの調査結果に基づき、丸太伏工の劣化と効果の低下の関係について考察しました。丸太伏工への植生進入状況は、施工後5年目で急激に繁茂し、植被率90%となり、その後、緩やかに上昇し、施工後11年以上では100%となっていました。また、施工後5年以上経過すると、施工時に比べ植被率、腐朽深さ、隙間の大きさで明確な差がみられ、腐朽深さが1cm以上、丸太間の隙間が0・8cm以上になると植被率が大きくなっていました。(表1)経年変化に伴う視距への影響については、現地で調査した結果、施工後10年を経過すると見通しが悪くなり始め、視距へ影響することが確認されました。以上の結果から、施工後5年ほど経過すると草本類が繁茂し始め、その後木本類が定着し、視距に影響がで始めるのは、施工後10年頃からだということがわかり、設計時に期待していたとおり、施工後約10年までは効果を発揮することが確認できました。しかし、施工後15年を経過すると、丸太伏工を施工していない箇所と同等に植生が繁茂し、見通しが悪くなっていました。今後の対策(提案)今回の調査結果を踏まえて2点提案したいと思います。1維持管理の実施集落間を連絡する一般車両の利用が多い林道では、5年以上経過した施工箇所を点検し、必要に応じて丸太を交換するなどの維持管理をすることが大切と考えます。2太鼓挽きした丸太の利用本調査の結果より、植被率の増加には丸太間の隙間と腐朽の大きさが関係していることがわかりました。太鼓挽きしてある丸太を用いれば、隣り合う丸太間に辺材部分がなく、腐りにくくなること、また丸太間に隙間がなく施工できることから、現状より丸太伏工の効果を長期間持続できるのではないかと考えます。表1施工年H27H26H25H24H23H22H21H20H18H17H15H1312345678101113159.051.909.2126.8390.7990.7984.1388.7395.87100.00100.00100.00北北西西北東北西北西西南南東西西北東19.479.9319.1736.3617.8611.7841.9419.379.0813.7331.6617.860.060.020.590.371.071.381.231.671.211.440.382.1600.290.440.150.851.070.852.312.43.483.81測定不能経過年数植被率(%)法面方位土壌含水比(%)腐朽深さ(cm)隙間(cm)施工後1年目施工後11年目施工後12年目(丸太なし)施工後15年目(丸太あり)丸太伏工施工後の経年変化と効果恵那農林事務所林業課金子卓憲MORINOTAYORI15