ブックタイトル森林のたより 768号 2017年10月

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概要

森林のたより 768号 2017年10月

●詳しい内容を知りたい方はTEL050ー3160ー6090(代)岐阜森林管理署まで国有林の現場から御嶽山パトロール13岐阜森林管理署大島愛彦・小原弘明岐阜森林管理署は御嶽山パトロールに参加しています。御嶽山パトロールは、下呂市、岐阜森林管理署、地元警察・消防等で組織する御嶽山山岳遭難防止対策協議会が主催するもので、毎年夏~秋の登山シーズン中の休日に実施しています。目的としては、御嶽山における登山者の遭難事故を防止するため、濁河温泉から火口周辺規制で立入禁止になっている下呂市境までの登山道の危険箇所の把握及び補修、安全啓発等を行います。平成28年度は22回実施し、山岳救助隊員、山岳警備隊員、岐阜森林管理署の職員で計65名が参加しました。今回はこの御嶽山パトロールに参加した職員からその時々の実施内容や感想等を紹介します。平成28年度参加(主任地域林政調整官大島愛彦)私は岐阜森林管理署に勤務する前は県庁防災課で地震と火山を担当していました。防災課の1年目に御嶽山が噴火し、災害警戒本部や現地本部で昼夜問わず働きました。2年目は名古屋大学大学院附属地震火山研究センターに通い、地震と火山を学びました。そして昨年度から御嶽山(国有林)を管理する岐阜森林管理署に派遣されたわけですが、これまで御嶽山に関わってきて一度も御嶽山に登ったことがありませんでした。登山靴を買い、御嶽山パトロールに参加しました。行程は土曜日の早朝に出発し、五の池小屋に1泊して、日曜日に下山する計画です。パトロール隊員は、下呂市、警察、消防、岐阜森林管理署の計6名。自分の足で歩いて、防災課のときに捜索隊から連絡を受けていた湯の花峠、のぞき岩、お助け水はここなんだと感動しながら登り、森林限界を越えて飛騨山頂の五の池小屋まで約4時間。ヘトヘトになって到着しました。パトロールでは登山者に声かけし、安全や登山届の提出を啓発しました。また、五の池小屋からサイノ河原にかけて老朽化したロープの張り替えなどを行いました。私の御嶽山登山はこれで終わりではなく、岐阜森林管理署で御嶽山にセンサーカメラ5台を設置しました。目的は御嶽山の亜高山帯から高山帯にかけてニホンジカの生息調査を行うためです。ニホンジカが高山帯に侵入すれば、高山植物の壊滅的な被害が考えられます。平成28年度の調査では標高1880mの仙人橋付近のカメラにニホンジカが撮影されました。センサーカメラは定期的に乾電池とSDカードの取り替えが必要で、そのたびに御嶽山に登らねばならず、ダイエットを兼ねて登っています。平成29年度参加(業務グループ小原弘明)国有林の職員となって2年。私は岡山県の出身ですが、岐阜森林管理署の周りには私の地元にはない雄大な山や自然があり、四季折々の風景を感じることができ、大変魅力的な土地に来ることができたと感謝しています。週末は登山にもよく行くようになりました。御嶽山はもちろん焼岳や西穂高、北ノ俣岳など、山のガイドブックを見て次はどこへ登ろうかと考えています。平日の山仕事や休日登山での経験を少しでも活かせればと、昨年に引き続き御嶽山パトロールに参加しました。梅雨明けの7月22日(土)と23日(日)。天候にも恵まれ多くの人が登山を楽しんでいました。初日、山岳救助隊員、警察の方と登山客に声かけしながら五の池小屋へと向かいます。目の前にはたくさんのコマクサと鮮やかな緑が広がり、御嶽山ならではの景色に疲れも吹き飛びました。小屋での安全啓発活動に引き続き摩利支天山を経由して二の池方面のパトロールを実施、また五の池小屋裏の土砂くずれ箇所の養生、薪割りなども行いました。作業が一段落して休憩中、五の池小屋玄関からフラフラとした足取りで具合の悪そうな登山客が出てきました。「顔色が悪いですが大丈夫ですか?」と声をかけると、吐き気とめまいの症状があり、登るとき水はたくさん飲んでいたが、塩分はまったくとっていなかったとのこと。私たちは塩分の入ったタブレットを食べるように促し、室内で安静にさせ声をかけながら経過を見守りました。幸いなことにその登山客はすぐに顔色もよくなり元気を取り戻しました。現在多くの人が登山を楽しむ中で今回のように適切な水分補給、塩分補給を出来ない人、無理な登山で体調を崩す人も出ることでしょう。登山での事故を起こさないために継続して安全の呼びかけが大切だと感じました。▲五の池小屋▲コマクサ(高山植物)▲御嶽山三の池MORINOTAYORI 16