ブックタイトル森林のたより 772号 2018年1月

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概要

森林のたより 772号 2018年1月

【森の名手・名人編集担当公益社団法人岐阜県緑化推進委員会専務理事黒﨑隆司】※原本は長文のため、文章の一部を割愛しています。●生年月日:昭和10年3月14日生まれ●職業:和紙製造業(紙漉き職人)石原英和さんのプロフィールいしはらひでかず美濃市上野において15歳の時から紙漉きに携わり、国重要無形文化財に指定された手すき和紙の技術を有し、平成26年にユネスコ世界文化遺産に登録された「本美濃紙」を漉くことの出来る「本美濃紙保存会」の会員であり、伝統技術の伝承と後継者の育成に尽力している。こういった業績が認められ平成26年に瑞宝単光章を受章した。平成元年から美濃市立牧谷小学校で、自分で漉いた美濃和紙による卒業証書作りを指導するなど、地域の伝統文化の承継に貢献している。名人維だけにする。そしたら、仕事場の船に細かくした原料と、トロロアオイっていう紙を漉くための補助剤を入れる。トロロアオイの根の粘液の性質で、船の中に水を入れても原料は沈まない。漉いたばかりのドロドロした紙を1枚1枚重ねたり、ジャキ台でプレスして水分を絞ってもはがれる。ジャキ台でドロドロの紙の水分を絞ると水が出てきて細い繊維が絡まったやつが残る。それを1枚1枚はがしてハケを使って板に張り付けて外で乾かす。そしたら製品の大きさに切る。薄い紙を漉くには、1分から5分かかるかもしれんし、1日漉いても100枚漉けん紙もあるし、300枚漉ける紙もある。和紙の原料を煮たら1日や2日おいてから1日くらいは塵取りをせなあかんし、塵取りをしてから細かく繊維だけにして、漉くのに1日かかって、干すのに1日かかるでしょ。できるまでには、4日か5日かかるってことやね。4.道具の職人さんのおかげやねまず、紙を漉く道具はこの木の枠が桁けたっていうのね。細い竹を絹で編んだのが簾す。桁や簾を作る職人さんが別々にみえる。う26年やっとる。それと長いこと紙漉きやっとったもんで、瑞宝単光章をいただいた。こういうものは絶対に1人ではもらえるもんじゃない。みんなの支えがあったからもらえるもんやと思う。ユネスコの無形文化財に本美濃紙、埼玉県の細川紙、島根県の石州半紙が指定を受けたけど、これからもやっぱり、お客さんに喜んでいただけるものを作るっていう気持ちが一番大事やと思う。昔、岐阜提灯の薄い紙漉いとったんじゃわ。そしたら石原さん、こんな薄い紙漉けるのはチャンピオンやねって言われたけど、私はチャンピオンじゃなくって常に限界に挑むチャレンジャーじゃないと駄目やと思う。チャレンジ精神がないと人間は成長が止まるというかね、絶えずどんな物事にも挑戦していく。チャレンジということは先を見るってことやで、できんかったらできるまで挑戦して、できたら、そこから先に一層よくなるように作っていくっていうのが職人やね。これが一番いいなっいう漉き方を昔の人から受け継いどるだけで、私が工夫することはない。だけど、今までにない新しい紙が注文来たときは、自分で工夫して漉く。6.原料補給やね今入れたのは、楮を細かくしたやつ。今漉いとる薄い紙は、60枚漉きあげると中の原料がなくなるもんで、入れる量を変えてかなあかんやら。1回に入れる楮の量は、今漉いとるぐらいの厚さの紙を作るときはこのぐらいという自分の目安。長年やっとるとこのくらい入れるとどのくらい漉くってことがわかっとるもんで、そんなに大変な話じゃない。原料を入れてかき混ぜるのは、こんだけが動力化したんだよ。3分間やると210回混ぜる。トロロアオイがはいったやら。こうやって混ぜると、腕にかかる力で粘りがこんでいいかなってことが、だいたいわかる。こんで、1枚漉いてみて、足らなんだら補給する。7.チャンピオンじゃない美濃市の牧谷小学校の子供たちに、はがきや世界に1つだけの卒業証書を自分に漉く活動を、も桁で水を汲むでしょ。まっすぐに平面を作るとなると真ん中に水の重さが加わると紙の真ん中が厚くなる。そうならんように作らなあかんもんで、桁の下の面に針金があるでしょ。横から見ると真ん中の針金が多少膨らんどる、これが水を汲むとまっすぐになるようになる。これで、調整しとる。桁を作るにも技術がいるんやね。5.和紙の最終工程の紙漉き今日は、伊勢の型紙を漉いとる。型紙の基準のサイズは縦60cmの横90cmで、注文によって多少小さいとか大きいとかあるけど、用途によって異なる。本美濃紙のサイズは、もうちょっと大きくて縦64cmの横97cm。今使っとる大きい桁だと、紙を漉くときには、水が重くて漉けん。こんだけ持っちょると、普通やったら重くて下に落ちるやら。そんで、竹にひもをつけて桁をつって、竹の力を利用しながら漉くもんで、そんなに力は入れん。そんで今の漉き方は、流し漉き。流し漉きは何でもできる。用途によって紙をどういうふうに流すかってことが違う。揺らし方が違うと、表面は変わらんけど、この揺らし方のほうが紙の目が細かく、密度が濃くなる。用途によってビータ(細かくする機械)桁紙漉きMORINOTAYORI13