ブックタイトル森林のたより 772号 2018年1月

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概要

森林のたより 772号 2018年1月

感染苗木はできるか接種源や培土などを変えて、様々な方法で感染苗木の作成を試みています。しかし、多くの苗木で感染は見られていません。唯一、白トリュフであるホンセイヨウショウロを接種した一部の苗木で、根にトリュフ特有の形態を示す菌根が観察できました(写真2)。D NA解析の結果からも、菌根がホンセイヨウショウロであると確認できています。菌根が形成した苗木は、苗高約7・7cmで、1本当たりの菌根数は平均117個でした。おわりに現状では、多くの苗木が感染していないため、接種方法や管理方法について改良が必要です。ただ、数は少ないですが、作成できた感染苗木は野外に植栽して経過を観察したいと考えています。本研究は、農林水産技術会議の委託プロジェクト研究「高級菌根性きのこ栽培技術の開発」で、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所などと共同で行っているものです。トリュフが発生する場所などの情報一歩近づくため、当研究所でも検討を進めています。まだ、確立された技術には至っていませんが、トリュフ感染苗木の作成の状況を紹介します。感染苗木の作成状況・苗木は、コナラの実生苗を使用しています。主根は10cm程度に切断しています。・接種源は、黒トリュフや白トリュフの胞子、培養菌糸、キノコが発生していた場所の土壌です。・容器は、主に容量300mlのマルチキャビティコンテナです。・培土は、滅菌した鹿沼土や鹿沼土に芝の目土を混合したもので、これらの材料に石灰を添加したものも使用しています。・管理は、23℃程度に設定した照明付き(6,000ルクス、1日18時間照射)の育苗室で、水道水を2日に1回程度、散水しています(写真1)。はじめにトリュフは、世界三大珍味の一つにも数えられる高級食材です。トリュフには様々な種類があり、色や発生時期などに基づいて、黒トリュフ、白トリュフ、夏トリュフ、冬トリュフなどと呼ばれています。ヨーロッパなどでは、栽培できるトリュフの種類は限られていますが、ブナ科樹木などの苗木に菌を感染させた感染苗木を植栽して、人工栽培が行われています。一方、国内にも黒トリュフも白トリュフも自生することがわかってきましたが、我が国ではトリュフの栽培は行われていません。国内に発生するトリュフの栽培化に向けた検討が必要ですが、ヨーロッパのものとは種類や発生環境などが異なるため、海外の人工栽培技術をそのまま適用することはできません。まずは、感染苗木の作成が必要です。感染苗木ができれば、トリュフ栽培にがあれば、ご連絡を頂けると幸いです。森林研究所●水谷和人●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所まで国内産トリュフの感染苗木を作成する写真2トリュフ菌が感染した根写真1苗木の育成状況MORINOTAYORI 20