ブックタイトル森林のたより 772号 2018年1月

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概要

森林のたより 772号 2018年1月

新年あけましておめでとうございます。皆様には、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。昨年秋に開催した「ぎふの木フェスタ2017」では、2万人を超える皆様に木の良さや木を使うことの大切さを実感していただくことができました。ご協力を賜りました関係者の皆様に、この場をお借りしまして、お礼を申し上げます。さて、今年度よりスタートいたしました「100年先の森林づくり」ですが、皆様のご理解とご協力により着実に進捗しております。例えば、100年先に向けて望ましい森林の姿を描く「森林配置計画」の策定については、森林のある34市町村全てで地域検討会が開催され、既に策定が終了した市町村もございます。低コスト再造林に欠かせないコンテナ苗の生産では、昨年度から約23万本も増加しており、着実に苗木の供給体制が整いつつありますし、「環境保全林」「観光景観林」の整備については、モデル事業地を選定し、針広混交林化や景観に配慮した施業方法の効果検証を開始いたしました。また、今後、市町村の森林行政が重要となってくることから、これらを支援する「岐阜県地域森林監理士」の育成も順調で、認定後には地域で活躍いただけるよう県も最大限に支援してまいりたいと考えております。現在、日本は人口減少社会へと突入し、50年後の生産年齢人口は約4割も減少すると推計されています。これは全ての産業界にとって大きな問題であり、森林技術者が減少傾向にある岐阜県の林業界には切実な悩みとなっています。こうした中、昨年11月に開催した「日独林業シンポジウム2017」では、人材育成、技術継承に取り組む第一人者が一堂に会し、これからの森林づくりを担う人材育成について、両国が連携しながら取り組むことが確認されたところです。そこで、新たに人材の確保・育成のための拠点を設置し、これまでの取組みに加え、「林業版ハローワーク」の開設や、新規参入者の支援、通年での雇用確保に向けた仕組みの構築など、人材の確保から定着までの取組みを総合的に支援することを検討しております。一方、100年先の森林づくりを進めるためには、県民の皆様に森林・林業に対して関心を持っていただくことが重要です。このため、子どもから大人まで全ての世代に対して、「ぎふ木育」を実践する仕組みづくりにも更に力を入れてまいりたいと考えております。木材の需要面では、人口減少に伴う低迷も懸念されていますので、新たな需要の創出に向け、新用途開発への支援や、首都圏・中京圏はもとより、韓国を中心としたアジア圏に向けた販路拡大への支援を行っています。昨年の秋には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に設置される「選手村ビレッジプラザ」へ木材を提供する事業協力者に岐阜県と6市町村(関市・中津川市・郡上市・下呂市・白川町・東白川村)が選定されました。こうした機会を活用し、国内外へのPRを一層進め、県産材のさらなる需要拡大を図ってまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。結びになりますが、本年が県の森林・林業・木材産業の飛躍の年となりますよう祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。年頭のご挨拶岐阜県林政部長高井哲郎明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。昨年、岐阜県では、「『清流の国ぎふ』づくりの全面展開」の元年として、「人づくり」、「魅力づくり」、「安全・安心づくり」の三つの政策の柱立てのもと、「中小企業総合人材確保センター」の設置や、千三百年目を迎えた「養老改元」と「白山開山」の記念行事の開催、東京五輪施設への県産木材の提供の決定など様々な施策が積極的に展開されました。林政関係では、現在の森林を、新たに「木材生産林」「環境保全林」「観光景観林」「生活保全林」の四つに区分し、一〇〇年先を目途に、県民総参加で、それぞれにふさわしい森林の姿にしていこうという「一〇〇年先の森林づくり」を柱とする、第三期岐阜県森林づくり基本計画がスタートしました。また、このような林政全般の施策推進のみならず、環境面、NPO等の団体活動の支援等多方面で県民の生活環境の向上に貢献する「清流の国ぎふ森林・環境税」も、平成三十三年度まで延長されました。森林整備の推進には、その担い手の住む山村地域の活性化が不可欠です。岐阜県では、平成二十三年度の中津川市の大型合板工場に始まり、瑞穂市の大型バイオマス発電施設、郡上市の大型製材工場が稼働を開始するなど、木材の受け皿施設の整備が急速に進められています。これら施設整備と、従来から取り組まれてきた高性能林業機械の導入や林道、作業道など木材生産基盤の整備がここにきて、木材生産の増大という形で成果をあらわしつつあります。さらに県では、平成二十九年度から主伐、再造林による人工林の若返りに本格的に取り組まれるなど、林業を核とした山村地域の活性化が現実のものとなってきています。一方、昨年七月に発生した九州北部豪雨に代表されるように、近年は、異常気象の影響か百年に一度という豪雨が多発し、これによる大規模な山地災害が各地で増えつつあります。このため防災、減災の視点からも治山事業や間伐等の森林整備の着実な推進が重要となってきています。こういった中、国では、更なる森林整備を推進するため「森林環境税(仮称)」の創設が検討されていましたが、昨年十二月に決定された、平成三十年度税制改正大綱に、自発的な林業活動が見込まれない条件不利地の森林整備及びそれを担う人材の育成・確保を、市町村が主体となって推進するための新たな財源として、「森林環境税(仮称)」と「森林環境譲与税(仮称)」の創設が明記されました。森林の公益的な働きの維持・増進に寄与することを目的とする当協会としましても、岐阜県の豊かな森林の生み出す多様な恵みを、現在のみならず、一〇〇年先、二〇〇年先の県民も享受できるよう、国の森林環境税(仮称)等の動向を注視しつつ、国や県に対する制度や予算の充実の要請等を通じて、森林整備の推進と山村地域の活性化に取り組んで参りますので、皆様の御支援を御願いいたします。結びになりますが、今年一年の皆様のご多幸を祈念しご挨拶といたします。新年のご挨拶(公社)岐阜県山林協会会長日置敏明MORINOTAYORI3