ブックタイトル森林のたより 775号 2018年4月

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概要

森林のたより 775号 2018年4月

温乾燥工程を連続して行い、含水率を11?12%台(平均)に仕上げました。乾燥後と4面鉋掛け後、2ヶ月の養生後にそれぞれ「矢高」を測り各条件の比較を行いました。※矢高とは、製材の反りが出た面に水糸を張ったときの水糸と材面との最も離れた距離のこと。蒸煮処理による反りの低減効果グラフ(図4)は2丁取り蒸煮8時間の矢高の変化を示しています。製材直後木取りと蒸煮・乾燥処理の概要径級22?24cmのスギからは2丁取り、径級34?40cmの原木からは3丁取り(図2)とし、それぞれ101mm角に製材(仕上がり寸法90mm角)しました。3丁取りの中心部以外は心去りとなるため、大きな反りが発生します。次に、反りの方向が必ず上下を向くように桟積み(図3)し、最上部に重しを載せた状態で木材乾燥機に入れ、8時間、48時間、72時間の3条件で蒸煮処理を行いました。蒸煮処理に引き続き、各条件とも高温乾燥工程・中県産材の大径化にともない、より径級の大きい原木が流通する割合が増加しています。一方で、部材として使用する製材寸法は従来と比べて大きく変化していないので、今後は製材の「木取り」が変化することが予想されます。例えば、図1に示すように径級18cmの原木からは、仕上がり寸法105mm(製材時寸法120mm)の正角材1丁を得ることができ、径級28cmの原木からは、2丁採ることができます(余った部分からは板材が採れます)。しかし、2丁取りでは年輪の中心部を外れた「心去り木取り」となるため、製材した直後から大きな反りが発生します。反りが残ったまま修正挽きで四角に仕上げると、無駄な削りしろが生じ製材の歩留りが低下してしまいます。今回、県内の企業と共に、発生した「反り」を木材乾燥機での蒸煮乾燥処理で抑制する方法について検討しましたので内容の一部を紹介します。※蒸煮処理とは、生蒸気を乾燥機の中に噴射し乾燥機内を高温高湿度とすること。に平均で20mmの矢高が、乾燥後には5mm程度となり、約1/4に低減されました。蒸煮時間を変えた場合、3丁取りの場合でも概ね1/3?1/4に低減される結果でした。また2ヶ月間の養生期間後も大きな変化はなく、今回の方法で充分実用化できることが判りました。試験前の予想では蒸煮時間を長くするほど低減効果が大きいと考えていましたが、8時間処理で充分な結果が得られました。8時間の蒸煮処理は通常の乾燥で採用される条件であり、今回の結果からは蒸煮時間の長短よりも、重しを載せる効果の方が高かったかもしれません。また「反りが蒸煮乾燥処理のどの時点で低減されたか」など不明な点も残っています。今後は、工程毎の反りの変化を測ることで乾燥スケジュールの改善につなげるとともに、今回の方法のB材(小曲がり材)への適用等について更に検討を進めていく予定です。森林研究所●土肥基生●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所まで心去り木取りした製材の反りを蒸煮乾燥処理で低減させる図23丁取り図3桟積みの状況図42丁取りの反りの変化(8時間蒸煮)120×120mm径級18cmの原木120×120mm120×120mm径級28cmの原木反り反り図1径級の異なる木取りと2丁取りで発生する反り製材後乾燥後モルダー後2ヶ月養生後0102030反り高さ(ミリ/4m)グラフは四分位で表し、上から最大値、75%点、50%点、25%点、最小値を示すMORINOTAYORI17 MORINOTAYORI