ブックタイトル森林のたより 777号 2018年6月

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概要

森林のたより 777号 2018年6月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0585ー23ー1111(代)揖斐農林事務所まではじめに航空レーザ測量とは、航空機に搭載したレーザ測距装置を使用して、精密な地表の位置と高さの情報を取得する測量方法のことを言います。現地に人が入らずとも、広範囲に精密な測量を行うことができます。岐阜県では平成27年度からこの航空レーザ測量データの成果品を活用し、治山施設点検や計画書の作成に役立てられています。航空レーザ測量のデータを活用することにより、治山事業の円滑化につながります。そこで、航空レーザ測量データの新たな活用方法として、現地調査の代わりに、航空レーザ測量データの成果品であるDEMデータを用いて、降雨などの影響による土砂の移動量を推定し、治山計画箇所を予測する判断要素にできないか、考察しました。調査概要はじめに、平成28年度に揖斐郡池田町藤代南谷地内の渓流で現地調査を行い、土砂の堆積状況、堆積範囲、土砂量を簡易横断測量にて算出しました。次に平成25年度に実施した航空レーザ測量から得られたDEMデータを解析し現地調査と同じ渓流の、土砂の堆積状況、堆積範囲、土砂量を算出し、2つのデータの比較を行いました。また、これに加え、平成26年度から平成28年度までの3年間の雨量実態、月雨量、日最大量、時間最大雨量30mm以上の日数を調査し、降雨による土砂移動の関係を分析しました。調査結果平成28年度簡易横断測量結果及び、平成25年度DEMデータより、横断図を作成しました。また、作成した横断図の不安定土砂の堆積範囲を結び平面図を作成しました。平面図からは一部露岩しているところを除き、渓流全体に土砂が堆積している状況が分かりました。平成28年度と平成25年度の平面図を重ねてみますと、土砂の堆積範囲が318・6m2拡大していることがわかりました。横断図からは土砂の堆積状況及び、平均断面法により土砂量を算出しました。両年度を比較してみていますと、平成25年度の横断図にはなかった土砂が平成29年横断図では土砂が堆積していることが確認できました。また、土砂量についても169・7m3増加していることがわかりました。3年間の平均年間降水量は2241mm、日最大雨量は124mm、時間最大水量は60mm、時間雨量は30mm以上の日数は4日でした。土砂の堆積範囲の拡大や不安定土砂量の増加、堆積土砂の流出する恐れが高い渓流であり、対策が必要な渓流であることがわかります。まとめ今回行った調査は比較的簡易かつ、安価に調査することができ、土砂の堆積範囲や、不安定土砂の変動を推定することが可能です。これにより、効果的な治山事業計画の策定が可能になります。また、対策の優先順位の判定に活用できると考察します。最後に今後の課題です。県では山地災害危険地区を指定し、重点的に治山事業による山地災害の発生源対策を推進しています。揖斐管内では土石流が起こりやすい地区である、崩壊土砂流出危険地区うち危険度A判定の箇所が84箇所指定されています。その中での対策優先順位判定に活用するには今回調査を行った1渓流の結果のみでは、判定は難しいので、地質条件や渓床勾配の違う複数の渓流において、同様の調査を行い、その地域の傾向をつかむ必要があります。D E Mデータを活用した土砂移動の解析揖斐農林事務所林業課小森一史治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会で発表された研究課題を紹介します。現況写真(H28)簡易横断測量(H28)DEMデータによる横断図(H25)MORINOTAYORI 16