ブックタイトル森林のたより 783号 2018年12月
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森林のたより 783号 2018年12月
低コスト再造林の取り組み(苗木生産について)岐阜県森林づくり基本計画(H29~H33)において、木材生産林では持続可能な林業経営を行う森林を目指し、人工林の齢級構成の平準化を図るため、再造林を推進しています。再造林を推進するにあたって、苗木の安定供給は必要不可欠であり、また再造林コストが森林所有者の大きな負担であるという課題があります。そこで、県では苗木生産の労務軽減が図られ、植栽経費などの低コスト化が期待できるコンテナ苗の利用促進を進めています。今回は、県内のコンテナ苗の生産状況と生長や材質などに優れた特定母樹や花粉症対策として期待される少花粉品種の種子の確保に関する取り組みについて報告します。コンテナ苗の生産状況コンテナ苗とは、育成孔の内側に設けたリブ(縦筋状の突起)などにより、水平方向の根巻きを防止するとともに、容器の底面を開けることで垂直方向に空気根切りができる容器によって育成した、根鉢付きの苗です。コンテナ苗の生産を開始した苗木生産者からは、以前までの裸苗の生産と比較して、散水の簡易化や棚の上での生育となるために屈んだ作業が減少し、労働負荷が軽減されたとの声が聞かれます。また根鉢付きのまま植栽することで、強い乾燥期や積雪期などを除いて通年での植栽が可能であり、優れた活着率が確認されています。また、植栽器具を使用することで、植付時間の短縮など作業行程の効率化が図られ、植栽経費などの低コスト化が期待できます。県では、新たな育苗技術であるコンテナ苗の生産拡大を図るため、平成26年度から残苗等への補償、平成27年度から生産施設導入に対する補助事業を実施してきました。県内のコンテナ苗の生産は、平成26年度の1事業者4,000本の生産からはじまり、平成29年度には11事業者(うち法人3社)で約43万本が生産されています。その内訳は、スギ苗木が約21万本、うち少花粉スギ苗木が約8万本、ヒノキ苗木が約21万本、その他が1万本です。補助事業の活用等もあり、県内のコンテナ苗生産量は増加傾向にありますが、民有林でのコンテナ苗の植栽本数は、全植栽本数に対して1割程度と低調であることから、今後はコンテナ苗の利用の向上に向けて、植栽を実施する林業事業体などへの普及を図っていきたいと考えています。コンテナ苗生育状況(富加町地内)優れた品種の種子確保の取り組み「森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法(平成20年法律第32号)」に基づき定めた本県の「特定間伐等及び特定母樹の増殖の実施の促進に関する基本方針(平成27年3月24日付け森第1152号の岐阜県知事通達)」において、再造林の際、従来の種苗よりも成長に優れたものを広く利用していくことが極めて重要とし、成長の特に優れたものとして農林水産大臣が指定するもの(特定母樹)の増殖の実施を促進することとしています。県内においては、住友林業㈱が下呂市乗政において計300本のスギ特定母樹の採種園の整備を行っています。平成34年度から一部採種開始の予定で、採種された種子は、岐阜県下呂林木育種事業地内に整備された住友林業㈱の岐阜樹木育苗センターで苗木に育成されます。現在の事業計画では、平成35年度から年間100万本の苗木が生産され、県内の造林地に優先的に出荷される予定です。少花粉スギの採種園の整備住友林業㈱(下呂市乗政地内)特定母樹採種園整備状況森林総合研究所林木育種センターから購入した苗木。育成後ハウス内にて閉鎖型採種園とする。(同左)県は社会的な問題となっている花粉症の対策として、花粉の飛散量が極めて少ない少花粉スギ苗木の生産に必要となる種子の確保を進めています。その取り組みとして、県が管理する白鳥林木育種事業地では平成21年度に少花粉スギ採種園約0.2haを整備し、平成29年度には9.5kgの少花粉スギ種子を生産し、8.0kgを県内苗木生産者へ配布しました。また平成28年度から白鳥林木育種事業地と、下呂林木育種事業地でそれぞれ約0.2haの少花粉スギ採種園の造成を行っています。これにより平成39年度には苗木34万本に相当する種子を生産できる見込みです。H28少花粉スギ採種園設定地(白鳥林木育種事業地)再造林面積の増加に対応するため、多様な優良苗木の安定供給が必要となっており、県では優良品種の種子の生産拡大に努めてまいります。3MORINOTAYORI