ブックタイトル森林のたより 791号 2019年8月
- ページ
- 12/18
このページは 森林のたより 791号 2019年8月 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 森林のたより 791号 2019年8月 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
森林のたより 791号 2019年8月
治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会で発表された研究課題を紹介します。増厚繊維補強モルタル吹付工法による既設のり面の補修八百津町役場建設課曽我周平●詳しい内容を知りたい方はTEL0574ー43ー2111八百津町役場建設課までる量になりました。改善方法として、施工前のコア抜き調査箇所を増やすようにして、どれくらい空隙があるのか正確に調べることが考えられます。まとめ今回、繊維補強モルタル吹付工法で施工して良かった点は、交通規制期間の短縮ができたこと、安全に施工ができたこと、産業廃棄物がほとんど発生しなかったことです。一方で今後の課題としては、劣化状況次第では空隙に注入するグラウト量がかなり増大となり、既設吹付を剥がして再度吹き直す工法より工事費が高くなる場合があることです。今回の現場では背面に平均4cmの空隙があり、グラウト材の注入量が多くなってしまいました。空隙を拡大する前に発見できれば、注入量も減りコストを抑えられることから、計画的なのり面調査を行うことが重要と考えます。吹き付けて増厚することで、既設のり面を補修、補強する工法であり、今回の施工ではアンカーボルトと空隙充填工を併用することで、地山と既設吹付モルタル背面の密着性を高めました。施工にあたっての課題実際に施工したところ、背面の空隙に充填工を行う際に注入するグラウト材の注入量と設計量に大きな差がでるという問題が発生しました。施工前にコア抜き調査を行い、平均空隙深さを測定していましたが、それでも設計量を大きく上回はじめに八百津町久田見にある林道笹尾線において、既設モルタル吹付のり面が経年劣化により剥離や亀裂が発生し、これ以上劣化が進むと剥離片が道路に散乱して通行に支障をきたす恐れがあったことから補修工事を行いました。この林道は、集落と集落をつなぐ連絡道にもなっており、日平均40台ほどの交通量のある町内林道の中でも利用者の多い林道です。日常的に利用する方も多いことから、長期間に及ぶ交通規制はやめてほしいとの地元住民からの声が多数ありました。また、過去には今回の施工箇所付近でのり面の崩落があり崩れやすい地層ということから、工事施工中の安全性確保も課題でした。工法選定のり面の事前調査を行ったところ薄層剥離や小さなクラック、吹付面と地山との間には侵入水や湧水による影響でできた空隙が進行していました。そのため、地山と一体化させることのできる工法での施工が必須でした。従来の工法である既設モルタル吹付を一度剥がして再度吹き直す工法は、施工期間が長く、既設吹付を剥がす際の応力開放によりのり面が崩れる可能性があり、今回の施工箇所には適していませんでした。そこで、最新の工法や近隣の施工実績を調べた結果、高強度ネット+ロックボルト補強工と増厚繊維補強モルタル吹付工法の2つの工法にたどり着きました。両工法とも既設吹付を剥がすことがないため施工時の安全性には優れています。もう一つの課題である交通規制期間の短縮を考慮すると、増厚繊維補強モルタル吹付工法が今回の現場に最も適しているという結果になりました。増厚繊維補強モルタル吹付工法は、既設モルタル吹付に短繊維混入モルタルを空隙充填工着工前完成MORINOTAYORI 12