ブックタイトル森林のたより 793号 2019年10月

ページ
13/22

このページは 森林のたより 793号 2019年10月 の電子ブックに掲載されている13ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

森林のたより 793号 2019年10月

活かす知恵とを森林人81●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー准教授●久津輪雅学びがたっぷり!学長室の家具づくりで、厚めに挽いておいたんだ」。見ると確かに真っ白で美しい板なのです。教員の私もシナを座面に使ったことはなく、柔らかくて傷がつきやすいかなとも思ったのですが、材木店の方の思いを聞いてシナを選ぶことにしました。結果、赤みがかったヤマザクラと真っ白なシナのコントラストが冴え、美しく座りやすい椅子になりました。他にも自慢したい特徴がたくさんあるのですが、紙面に限りもあるのでここまでにします。森林文化アカデミーにお越しの際は、ぜひ「学長室の家具を見たい」と一声おかけください。教職員がご説明させていただきますよ。の現状を見て、教職員にインタビューを行い、求められるデザインや機能を確認することから始まります。1週間後、1人1人がデザイン案のプレゼンを行い、最も理にかなっている案を核にさらにブラッシュアップします。一連のプロセスクリエーター科の木工専攻ではここ数年、学長室の家具製作に取り組んでいます。涌井史郎学長になってから、天皇陛下(ご来校当時は皇太子殿下)をはじめ、中央官庁、林業・林産業大手の社長、海外の大学の教授など、要人を学長室にお迎えする機会が増えました。それならば、学生たちがデザイン・製作した家具で学長室を飾り、来訪者の目を楽しませ、話題にしてもらおうと考えたのです。また、次年度以降の学生にとってよい見本にもなります。実は学長室はそれまで、お世辞にも格式ある部屋とは言えませんでした。スチール製のロッカーや、誰かが持ち込んだ(?)と思われる家庭用の食器棚が書棚がわりに置かれ、高級感も統一感もなかったのです。今年度の2年生は、会議用テーブルを囲む椅子10脚と、学長机の脇の書棚を製作しました。実習は、学生たちが学長室は、社会に出てクライアントから要望を聞き、それを踏まえた家具づくりを行う訓練なのです。材料はもちろんすべて県産材で、材料選びも重要な学びです。学生たちは人工乾燥材を揃える高山市の材木店で樹種ごとの在庫を確認し、どの樹種を使うかを決めます。図面からそれぞれの部材を取るのに必要な板の枚数を割り出し、1枚1枚木目や色を見極めて注文します。今回の椅子では、脚と背の棒にヤマザクラ、背板と座面にシナ、書棚ではすべてクリを用いました。椅子の場合、脚や背の棒には緻密で硬いことが求められます。一方、座面は軽く柔らかい方が座り心地がいいのです。実は当初、学生たちは座面にはトチノキを考えていたのですが、材木店の方がこんな話をしてくれたのです。「シナは普通は箱物用などに薄く挽くんだけど、このシナは節がなくてあまりにきれいなのMORINOTAYORI13 MORINOTAYORI