ブックタイトル森林のたより 794号 2019年11月

ページ
11/18

このページは 森林のたより 794号 2019年11月 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

森林のたより 794号 2019年11月

国有林の現場から37安全な金華山を目指して金華山イノシシ対策シンポジウム?街のイノシシを知る?開催皆さんは、金華山に登られたことがありますか。金華山は、岐阜市の中央部にそびえる急峻な独立山塊です。戦国時代に斎藤道三が居城を整備し、その後、織田信長がここを拠点に天下統一の戦いを進めたことが知られています。その金華山には、「百曲がり」「馬ノ背」といった10の登山道が整備され、ぎふ金華山ロープウェーが運行されていることもあり、地域住民だけでなく登山客や観光客にも広く親しまれています。また、金華山周辺は、暖温帯の照葉樹林が多く分布し、特にツブラジイは、開花時期に金色に輝くようにみえることから、金華山の名前の由来とも言われます。このような自然豊かな金華山には、野生鳥獣が生息していますが、野生イノシシが生息していることは十分に知られていません。ところで、全国に目をむけると、人が野生イノシシに襲われる事例が発生しています。特に、高松市や神戸市といった都市(人口密集地)における被害事例は、類似の環境条件でもある岐阜市の金華山においても、同様の被害が心配されるところです。そのため、平成27年度に関係機関が集まり、「岐阜市金華山一帯のイノシシ被害対策協議会(以下、「協議会」)」を設立しています。協議会は、地元住民(岐阜市自治会連合会)、岐阜市猟友会、活動団体、警察署、岐阜大学、行政機関(岐阜市、岐阜県)等により構成され、金華山国有林を所有管理する岐阜森林管理署も設立当初から参画しています。これまで協議会では、1イノシシ生態調査、2防護柵の設置、3啓発活動、等を実施してきました。これらの活動を、さらに広く地域住民等の皆さんに知っていただくため、今般、岐阜市内でシンポジウムを開催しました。シンポジウムでは、市街地におけるイノシシ被害に詳しい兵庫県立大学の横山真弓教授から、神戸市・六甲山における野生イノシシ生息管理の状況や、市街地への出没要因について基調講演をいただきました。横山教授からは、「人間が餌を与えることにより、その餌に執着する、危険な野生イノシシを生み出してしまう」「共存のためには、市民は、野生イノシシから嫌われる(警戒される)必要がある」といったアドバイスを頂戴しました。また、これまで金華山のイノシシ生態調査を実施してきた岐阜大学の池田敬特任助教からは、「今のところ、金華山の人間が活動するエリアでのイノシシの活動増加傾向はみられない」という報告もありました。最後に行われたパネルディスカッションでは、岐阜市猟友会の大野惠章会長から、「正規の登山道以外を歩く登山者がいるが、くくり罠を設置している箇所もあり、危険なので控えていただきたい」という意見もありました。当シンポジウムを通じて、野生イノシシとの遭遇リスクを低減するためには、餌等を与えないこと、正規の登山道以外を歩かないこと、といった基本的な事柄がとても重要だと思われました。金華山周辺地域が、いつまでも安全な、市民等の憩いの場であり続けるため、今後も協議会に関わる関係者の取り組みと連携がますます大切だと考えます。(岐阜森林管理署)▲金華山国有林と岐阜城▲シンポジウム(パネルディスカッション)MORINOTAYORI11