ブックタイトル森林のたより 794号 2019年11月

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概要

森林のたより 794号 2019年11月

●詳しい内容を知りたい方はTEL058ー214ー7408岐阜農林事務所林業課まで治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会で発表された研究課題を紹介します。林道の切土法面における獣害対策について岐阜農林事務所林業課桂川亮まとめ及び考察法面の周囲を覆う工法は、法面への侵入防止効果が高く、獣害対策として有効であることが確認できました。周囲のみ覆う工法としての利点は、特に長大法面への施工において発揮されます。保護する法面に対して周囲延長分のみの施工で済むことから、費用対効果が高くコストの面から効果的であると言えます。今回の事例で、緩斜面からの侵入については、部分的に金属枠を幅2mにして飛び越えが困難な状態にする対策などが考えられます。今後も継続して追跡調査を行い、有用性の実証確認を行っていきたいと思います。を取られることを嫌がる習性を利用し法面への忌避効果を狙うものです。また、植物の生長点までの食害を防ぐことで植生の枯死を防ぐ効果もあります。施工タイプとして全面を覆う工法と周囲のみを覆う工法が考えられましたが、コスト等を比較し、周囲のみを覆う工法を試行し、調査を行いました。調査結果切取勾配8分の法面においてはシカに侵入された形跡は無く、内側の植生に踏み荒らしや食害はみられませんでした。これは金属枠の忌避効果により、シカが法面への侵入を行わなかったことが理由であると考えられます。一方、法面勾配が部分的に緩斜面になっている個所においては、シカが金属枠を飛び越え、侵入した足跡がみられました。(写真3)きました。当林道の特徴として、積雪量が多いため、法面を柵で囲む方法は、雪の荷重による破損の恐れが高いことから、法面を何らかの方法で被覆する対策工法を選定しました。いくつかの工法を試行する中で、当林道においては、法面への密着性の高い「植生基材吹付工」と動物の侵入防止の効果が高い「金属枠工法」(写真1)との組み合わせが有効であることにたどり着き、工法を絞ってさらなる検討を行いました。(写真2)「金属枠工法」は幅1m、高さが15cmで網目が10cmの正方形の部材で、動物が足野生生物による林道法面の被害近年、農林業において野生動物の増加による被害が深刻化しています。林道の法面においても例外ではなく、緑化した法面へのニホンジカの踏み荒らしや食害が発生し、植生不良や法面崩壊の原因となっている事例が存在しています。このため、林道における切土法面植生工の保護を目的とした獣害対策について様々な工法を試行、調査、検討を行いました。事業、調査の内容今回の調査は、県営林道「伊自良~根尾線」において平成二十四年度から検討を開始しました。経年による実績や他工事の事例を参考に試行錯誤しながら対策の検討を行って写真1(金属枠工法)写真2(法面周囲への施工)写真3(シカの侵入跡)MORINOTAYORI 12