ブックタイトル森林のたより 795号 2019年12月

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概要

森林のたより 795号 2019年12月

活かす知恵とを森林人83●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー教授●横井秀一スギ天然林の多様な姿に学ぶまた、天然スギは広葉樹との混交林をつくることもよくあります。芦津(鳥取)の天然スギは、ブナやミズナラと混交し、広葉樹から頭一つ抜け出すようにして立っています。滋賀県志賀町の扇状地に生える天然スギは、荘厳さこそありませんが、スギが生える立地を教えてくれています。私たちは、スギ天然林から多くのことを学ぶことができます。そこには、これからの森林管理のヒントがあるかもしれません。スギ天然林はおもしろい日本は、各地にスギの天然林が分布しています。多くは局所的な分布ですが、分布地は意外と多く、かつて、自然界にスギが豊富に存在したことが想像できます。スギ天然林の林相や樹形は、人工林のスギを見慣れた目には、時として奇異に映るかもしれません。しかし、そこからはスギの性質を知ることができ、また、自然界で生きるスギのたくましさを垣間見ることができます。▲志賀町の天然スギ▲芦津の天然スギ各地のスギ天然林天然スギと聞いてまず思い浮かべるのが、日本三大美林(天然林)の一つ、秋田スギではないでしょうか。秋田のスギ天然林の多くは、伐採後に実生から更新した天然生林で、利用しながら管理されてきたものです。それらは、純林に近い林相を呈しています。同じ東北地方でも、最上峡(山形)の天然スギは、尾根に分布し、樹形は株立ちと、秋田の天然スギとは様相を異にしています。このような株立ち樹形のスギは各地にあります。例えば、新潟県阿賀町の天然スギも株立ちをしています。こちらは雪上伐採による、いわゆる「あがりこ」でしょうか。スギは水分の多い立地を好むので、天然林は豪雪地帯に多く分布します。豪雪地帯のスギは、積雪により下枝が地面に押しつけられ、接地箇所から発根して伏条樹形を呈することがあります。佐渡や立山、芦生(京都)のスギによく見られます。▲秋田の天然スギ▲最上峡の天然スギ▲阿賀町の天然スギ▲佐渡の天然スギMORINOTAYORI11 MORINOTAYORI