ブックタイトル森林のたより 795号 2019年12月

ページ
12/18

このページは 森林のたより 795号 2019年12月 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

森林のたより 795号 2019年12月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0572ー23ー1111東濃農林事務所まで治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会で発表された研究課題を紹介します。瑞浪市稲津町小里地内で発生した土石流災害について東濃農林事務所神戸努現地を調査したところ、急激な降雨により尾根付近で発生した小規模な土砂流出が起因となって、渓流内の堆積した土砂を巻き込み土石流となって流出したのではないかと考えた。災害関連緊急治山事業の概要谷止工5基と倒木処理を実施した。谷止工は、渓岸侵食の拡大防止と渓床勾配の緩和を目的として、階段状に配置。事業完了後には約250mの区間で渓床勾配が2分の1に緩和されるため、保全対象への土砂流出は防げるものと考える。上流部の多くは岩盤が露出し、Ⅴ字谷となっている。転石が渓流内に散在しているが、異常堆積している土砂はない。これらにより、2mを超えるような巨石を含んだ土石流が発生する可能性は低く、災害関連緊急治山事業で設置した施設は妥当であると判断した。まとめ林野庁の中間とりまとめでは事前防災・減災対策として、対策を講じる箇所の選定基準などが提案されているが、今後治山事業を計画するにあたり、次の2点が課題と考えた。1.山地災害の発生のしやすさと保全対象に与える被害の大きさリスク評価方法の確立2.コアストーン対策を考慮する場合の天端厚や袖部の補強対策などの具体的基準方針の策定今後は、これらの課題を整理し、体系化していくことにより、必要な箇所で必要な対策ができるようになると考えられる。コアストーンについて岐阜県の東濃地域は巨石が多く、ナギ下地区の工事でも確認されたため、土砂中の巨石(コアストーン)について確認を行った。林野庁から示された「平成三十年七月豪雨を踏まえた治山対策検討チーム中間とりまとめ」では広島県・愛媛県での土砂災害の発生メカニズムは、数日にわたる長時間の大雨により、雨水が凹地形に集中し土壌の飽和を伴いながら深い部分まで浸透し、基岩との境界などを滑り面として崩壊、また、通常崩壊しにくい尾根部付近でも崩壊が発生、花崗岩等の脆弱な地質地帯に集中しており、風化層にあった巨石を巻き込んで集落まで巨石が到達し被害が拡大した。とまとめられている。ナギ下地区の現場にて再度渓流を調査確認した結果、この地区で確認できる巨石は1・5m程度である。はじめに平成二十九年七月に瑞浪市ナギ下地内で土砂災害が発生し、災害関連緊急治山事業を実施した。平成三十年七月豪雨では岡山県、広島県などで土砂災害が多発し、花崗岩風化によるコアストーンが注目された。当箇所も花崗岩地帯であり巨石が点在しているという点で共通するため、改めて実施している治山事業の妥当性や課題について考察した。災害の状況平成二十九年七月、岐阜県に台風3号が接近し、昼過ぎから夕方にかけて時間30ミリを超す大雨であった。観測記録を確認すると、前日まで降雨はなく当日の短時間集中的な降雨で被災したことが分かった。渓流は市道の下を横断していたが、今回の豪雨では市道に土石・流木が流出し、道路沿いの民家へも被害を与えた。MORINOTAYORI 12