ブックタイトル森林のたより 796号 2020年01月

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概要

森林のたより 796号 2020年01月

活かす知恵とを森林人84●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー准教授●辻充孝「スギのフローリングは暖かい?」スギの体感温度24℃に対して御影石は11・6℃とかなり低く感じることがわかります。絨毯は26・5℃と暖かいです。この計算結果と体感は概ねあっているのではないでしょうか。他の樹種でも計算しています。マツは容積比熱が大きく体感的にスギより少し冷たく感じそうです。広葉樹のナラやブナも1℃前後低くなっています。合板を心材にして広葉樹を貼った複合フローリングも同様です。スギのフローリングは暖かい?最初の問いの、「スギのフローリングは暖かい?」は、じゅうたんほどではないが、木材の中では比較的暖かく感じる床材ということになります。また、木材の中でも柔らかいというスギの性質は、確かに傷付きやすいですが、逆に衝撃を吸収する力もあるということです。これは、転倒して頭を打った場合のダメージ軽減にも有効です。転倒リスクが高めな小さいお子さんや高齢者住居では重宝することでしょう。木材は、樹種やそれぞれの個体によって様々な性質を合わせ持っています。ある時には、弱点と考えられることも、別の視点では優位性があることもしばしばです。木材の性質を見極め適材適所に活用していくのも面白いです。「スギのフローリングは柔らかくて傷が付きやすいけど暖かいからね。」という売り文句を耳にします。スギは本当に暖かいのでしょうか。どの床素材が暖かい?冬に帰宅した際、冷え切った部屋に3種類の床(1スギのフローリング、2御影石、3絨毯)があります。裸足で乗った時に、どれが一番暖かいと思いますか?日常体験から思い起こすと、絨毯ではないでしょうか。ですが、よく考えてください。同じ空間に長い時間置かれた素材の温度がそんなに違うと思いますか?サーモカメラで計測するとほぼ素材の温度差はありません。(写真:スギ19・9℃、御影石19・7℃、絨毯の代わりにタオル19・6℃)ということは、私たちの思い込みでしょうか?そんなことはありません。実際に触ると、確かに絨毯(タオル)が一番暖かく感じます。この暖かさを感じる感覚は何でしょう。暖かさを決める2つの要素暖かい、冷たいと感じる要素は、大きく2つあります。1つ目は、その素材の温度。床暖房などでフローリングが暖まっていれば当然暖かく感じます。2つ目の要素は、体が触れた時にどの程度の勢いで熱が奪われるかの素材の性質です。専門用語でいうと、熱伝導率と蓄熱容量です。つまり、絨毯が暖かく感じるのは、熱伝導率が悪いために、足の裏から熱が伝わりにくく、しかも熱容量が少ないために絨毯自体がすぐに暖まって、それ以上熱が奪われなくなるためです。逆に冷たく感じる御影石は、熱を伝えやすく、熱容量も大きいので体温が長時間にわたって奪われてしまい、冷たく感じるのです。体感温度は何度くらいでしょう実際に触った時の体感温度を素材の性質と足裏の体温から計算することができます。(熱伝導率と容積比熱から求める熱浸透率という指標を使います。)いくつかの素材で、足裏温度30℃、床表面温度を5℃と想定して、何℃程度に感じるかを計算してみました。体感温度スギ24.0℃御影石11.6℃絨毯26.5℃ヒノキ23.4℃マツ21.7℃ナラ22.9℃ブナ23.4℃※木材の物性値はバラつきがあるが、標準的と考えられる物性値で試算3 2 1MORINOTAYORI15