ブックタイトル森林のたより 800号 2020年05月

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概要

森林のたより 800号 2020年05月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー35ー2535森林文化アカデミー森林技術開発・支援センターまでする損害賠償を巡って裁判沙汰に発展することもないとは言えません。そうなると、違法な作業をしてしまった労働者は不利になるでしょうし、その場合でも事業者が適正な伐倒について充分な指導をしていなかったのであれば、もしかすると話が変わってくるかもしれません。なお、適正な手順で伐倒したのかどうかは、伐根を見れば分かります。山林内で他者に見られながら伐倒作業を行うことはほとんどありませんが、公の機関が発注した事業、補助事業において、違法と見なされる作業が行われた形跡が残っているとしたら、大きな問題になり得ます。それぞれの伐根について、「適正か、違法か」が付きまとってしまうのです。事業者は~しなければならない他にも、かかり木処理や、伐木作業区域の立入禁止(樹高の2倍相当の距離を半径とする円形)、特別教育の統合等、追加・変更された項目がいくつかあります。実際にチェーンソー作業に従事される方は、特別教育の補講を受講する際に詳細を確認していただければよいのですが、チェーンソー作業をしない雇用主や管理職の方にこそ、今回の改正内容を熟読しておくことを強くお勧めします。林災防発行のテキストがどの職場にもあると思いますが、安衛則の条文に目を通してみてください。「労・働・者・は~しなければならない」という規定よりも、「事・業・者・は~しなければならない」という適当な幅の切り残し(つる)を確保する、を遵守しなければなりません。それができていない伐倒作業は違法ということになります。(補足:必要に応じて、芯切りや、斧目を入れることは問題ありません。)また、前述の保護衣の規定と同様、事業者には労働者に1~3を行わせる義務があり、労働者にもやはり1~3を行う義務があります。例として、胸高直径20cmの立木を、受け口を作らずに伐倒しようとしたところ、伐倒方向をコントロールできず、作業者に激突して労働災害になってしまったというケースを考えてみます。安衛則改正前であれば、災害の原因と対策を検討して「もっと安全な方法で伐倒するべきだった」と言われることでしょう。ところが、改正後はそれではすみません。「そもそも作業手順が違法だった」と見なされます。また、あまり考えたくないことですが、労働災害に起因▲伐根の受け口やつるの形跡規定の方がより多く存在することが分かります。この法律において、事業者は労働者に対して常に責任を負っているのです。堅苦しい法律の話ばかりになってしまいましたが、今回の安衛則改正をきっかけにして、森林技術者の皆さんの体を守るための環境を整えていきましょう。MORINOTAYORI15