ブックタイトル森林のたより 801号 2020年06月

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概要

森林のたより 801号 2020年06月

森林研究所●和多田友宏●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所まで森林作業道における路肩崩壊箇所と地形の凹凸についてはじめに森林作業道は、間伐をはじめとする森林整備、木材の集積・搬出に用いられる道です。地形に沿って開設し、簡易な構造とすることで作設費用を抑えつつ継続的な使用に耐える丈夫なものであることが求められます。これを踏まえ、森林作業道作設指針では、路体は堅固な土構造によることを基本としています。しかし、やむを得ず急傾斜地等崩壊危険地を通過する場合においては、かご枠等の簡易な構造物を設置しないと、崩壊が起こりやすくなり、継続的な利用が困難となります。過去の森林のたより(第759号、第764号、第788号)で、急傾斜地での森林作業道崩壊事例や、斜面傾斜と路肩崩壊箇所や構造物設置箇所の関係を紹介してきましたが、今回は、路肩崩壊箇所と地形の凹凸との関係性について、既設の森林作業道で調査した事例を報告します。調査路線および調査内容調査路線は、平成12~29年度に作設された全幅員2・5~3・5mの森林作業道9路線、総延長は約10,905mです。調査内容は、森林作業道の路肩部の崩壊状況を調査し、崩壊の状態により、車両の通行が不可能なものを「路肩崩壊」としました。崩壊位置については、ハンディGPSにより記録しました。また、路線の起点から5m間隔に測点を作り、これらの測点および路肩崩壊地点での地形の凹凸を調べました。地形の凹凸は、5mメッシュの標高データ(DEM)を用いて、、標準曲率を計算し、この値がプラスなら凸地形、マイナスなら凹地形としました(図1)。調査結果路線全体では、図2のとおり、凸地形と凹地形がほぼ均等であったのに対し、路肩崩壊箇所では、凹地形が9割を占めていました。この凹地形には、常水のある谷地形の他に、0(ゼロ)次谷と呼ばれる、常水のない集水地形も含まれます。この0次谷は今後崩壊が発生する危険性が高い、「崩壊危険地形」の一つです。森林のたより第788号では、構造物のない35度以上の急傾斜地で崩壊が発生している事例を述べましたが、壊れにくい森林作業道の作設には特に崩壊が発生しやすい急傾斜かつ凹地形の箇所において、重点的に構造物の設置を検討することが、重要となります。おわりに森林研究所では、急傾斜地を判読しやすい「岐阜県傾斜区分図」や凹地形などの形状が視覚的に確認しやすい微地形図「岐阜県CS立体図」を作成し、WEBサイト「G空間情報センター」上に公開しています。また、これらの図は、WEBGIS「ひなたGIS」でも公開されており、通信可能な場所であれば、スマートフォンなどで現在位置を確認しながら見ることができます。ぜひこれらの図面を活用していただき、壊れにくい道づくりを推進していただきますようお願いします。凸地形(標準曲率+)路肩崩壊箇所図1標準曲率*と地形形状の関係*標準曲率とは、周囲の標高データから地形の凹凸を計算によって求めたもの図2路線全体と路肩崩壊箇所の凹地形・凸地形の分布の比較比較凹地形(標準曲率ー)路線全体MORINOTAYORI13