ブックタイトル森林のたより 803号 2020年08月

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概要

森林のたより 803号 2020年08月

松くい虫被害を受けたアカマツの利活用-炭づくりと刀剣鍛冶-森と木のクリエーター科林業専攻杉浦義隆シリーズ森林文化の1研究実践と岐阜県立森林文化アカデミー課題研究公表会要旨2.研究の目的松くい虫の被害を受け枯れたマツ(アカマツ)を炭にしたとき、どのような品質の違いが表れるのかを明らかにし、その松炭が刀剣鍛冶に利用できる品質のものができるのかを検証する。3.研究の概要岐阜県御嵩町及び「水土里隊」の協力のもと、岐阜県御嵩町の町有林を使用させていただき、松くい虫被害木の調査、伐木、造材、製炭、測定を実施し、考察した。4.調査・測定a.マツ枯れの調査~伐木・造材御嵩町町有林の水土里隊活動エリアにおいて、マツ枯れと推測されるアカマツを抽出し、月1度の間隔で1.研究の背景マツは古くから日本人の生活と密接に関わり、建築用材、薪炭材、松脂、航空機の燃料の代替品(松根油)等、多様な活用がされてきた。その一つであるマツ炭は刀剣鍛冶に不可欠の燃料であり、日本有数の日本刀産地である岐阜県関市とも縁が深い。現在、マツは、「松くい虫」(マツノザイセンチュウ)の被害を受け厳しい状況に置かれている。松くい虫の被害木は放置しておくと松くい虫被害の拡散を招く要因となることから、被害拡大を防ぐためには、被害木の適切な処理が必要であり、製炭も有効な処理法の一つとなる。研究に先立ち、御嵩町町有林の整備活動の一環として製炭も行っているボランティア団体「水土里隊(みどりたい)」にヒアリングしたところ、「松くい虫の被害を受けたマツを炭にすることはできると思うが、枯れや腐朽の状態とできた炭の品質との関係性がよくわからず使いづらい。」「炭材の見た目や重量で判断しているが、判断基準が一定でない。」「枯れや腐朽の状態と炭の品質との関係性がわかれば、枯れマツをもっと有効に活用できる。」等の回答をいただいた。経過を観察し、外観から枯れ具合を5段階で評価。枯れ具合5(最も枯れている)と判定した立木2本を伐倒し、40cmに造材、薪割り機を用いて4つ割り~6つ割りの炭材に加工とした。伐倒した材の小口面は青く変色しており、青変菌が入っていることが確認された。b.マツノザイセンチュウの調査マツ枯れの原因がマツノザイセンチュウであるかどうかを確認するため、木工用ドリルを用いて、幹及び枝から木片を採取し、ベールマン漏斗法によりマツノザイセンチュウの有無を調査した。結果、すべての材からマツノザイセンチュウが検出された。写真1造材時写真写真2左:調査風景右:検出したマツノザイセンチュウMORINOTAYORIMORINOTAYORI 1010