ブックタイトル森林のたより 803号 2020年08月

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概要

森林のたより 803号 2020年08月

活かす知恵とを森林人91●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー講師●新津裕「素材を知ることで命とつながる」そ、よく見れば様々な痕跡(歴史)が残されているのです。すると、不思議と徐々に愛着が湧いてきます。お金を出して買ったものなら、傷があれば返品交換してしまうかもしれません。買ったモノと自分が関係したモノ、同じ素材でも関わり方が変わると見え方が変化してくるなんて面白いですね。あなたの身近な素材にはどんなストーリーが隠されていますか?切り身が泳ぐ?「最近の子は、鮭が切り身の姿で泳いでいる」と思っている。そんな話を聞いたことがあります。ついにそんな時代になったのか?と思いつつも、自分の身近なモノで考えてみると、木製品や革製品なども、意外と生きている(加工される前の)姿を想像できるものって少ないのではないでしょうか。本物に似せた擬木や木目調のプリント合板、フェイクレザーなど似せて作られたものもあるので、尚更わかりにくい世の中かもしれません。革になる前は皮あなたは革製品を持っていますか?その素材が何革かは知っているかもしれません。でも、その素材の事をどこまで知っているでしょうか。果たして本当にイメージしている姿でしょうか。アカデミーでは実習で捕獲した鹿・猪を学内の施設で解体をすることが出来ます。この施設が出来たおかげで、その解体・剥皮された後の皮を使用して有志の学生と皮なめしを行うことが出来るようになりました。鞣(なめ)し通常、動物の皮はそのまま利用しようとしても、腐敗し易く乾燥すると固くなってしまうという欠点があります。そこで、古代から人類は様々な工夫を凝らして皮を革製品として加工する技術を確立してきました。動物の種類や用途によって薬品を使い分けますが、薬品を使用するのは廃液処理の関係で個人が行うにはハードルの高い作業。しかし、身近なスーパーなどで手に入るものでも皮を鞣すことが可能です。※鞣しを行われた皮を革と呼びます。命に触れる初めて野生動物の捕獲に立ち会う学生には、非常に大きな衝撃があるかと思います。「可愛い」と遠くから見るだけの存在だった野生動物が目の前で対峙する獲物となり、躍動していた命が目の前で静かに横たわっていく。解体が進むと動物から素材へと変化していきます。剥皮した皮を1ヶ月近くかけて自分の手で革に変化させる過程の体験。その過程の中では様々な発見があります。身体の部位によって異なる皮の厚さ・皮に残された傷跡。生きていた素材だからこ学生が自ら鞣したシカの毛皮MORINOTAYORI 12