ブックタイトル森林のたより 804号 2020年09月

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概要

森林のたより 804号 2020年09月

活かす知恵とを森林人92●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー講師●松井匠m orinosの木材利用表層圧縮・A C Q・圧密の床材床には三種類の床材が使われています。デッキは「表層圧縮」したスギ。樋下のあたりには、ヒノキに防腐防蟻薬剤であるA C Qを注入した材を使っています。そして室内には「杉圧密フローリング」を使いました。30mmの杉板を15mmまで圧縮したあとUVセラミックコーティングを施して、摩耗に強く木目もきれいに見える仕上げになっています。C L T・構造用合板morinosにはスギ3層のC L Tが使われています。屋根の中で構造用合板と併用して、建物の耐震性能を上げています。「広葉樹のベンチと取っ手」「針葉樹を燃やせるストーブ」といろんな木材利用がまだあるのですが、書ききれない!オープンしたmorinosにぜひお越しください。森林文化アカデミーに日本で初めての「森の入り口施設」ができました。その名も【morinos(モリノス)】です。どうですか。かっこいいですね。森林文化アカデミー教員の萩原ナバ先生の発案で、木造建築専攻学生の設計からスタートし、特別招聘教授の隈研吾氏が意匠原案を作成いただき、建築専攻教員を中心に多くの方の協力で完成した建物です。岐阜県が誇る名建築の仲間入りを果たしました。今回はこのmorinosの「木材利用」について書こうと思います。morinosは、木材の多彩な利用方を見ることのできる博物館のようになっています。すべて県産材まず、このmorinosは、巨大な丸太から小さな壁の下地材まで、木部をすべて岐阜県産材でつくりました。これから紹介する各部分もすべて岐阜県産材です。V字丸太は演習林から5対のV字丸太がこの建物のトレードマーク。県有林であるアカデミー演習林で育った100年生のヒノキです。構造計算と意匠デザインで決まったサイズは末口径330mm(胸高直径450mm程度)で7mの真っ直ぐな丸太。なかなかの上物です。この木を探しに行くところから始めて、林業教員と学生と一緒になって伐採・搬出を行いました。大断面集成材製材だけでなく、集成材も使っています。集成材は強度をデザインできるので、製材よりも小さな寸法になるのですが、それでも大梁の成は450mm!なんという大きさ!室内で梁が大きく見えると圧迫感が生まれて狭く感じてしまうので、天井スリットを調整してちょうど良い大きさに見えるように設計しています。樹皮付き方立morinosは屋外との繋がりを大切にしたガラス張りの外壁。ガラスを押さえている「スギの方立」は樹皮がついたままになっています。これは、外部は丸太と樹皮で自然のままの姿を連想させ、室内に入ると加工された木になる、山から暮らしへ木が降りてくるという表現でもあります。乾燥時にPPバンドで固定し遠赤外線木材乾燥機を用いた人工乾燥で実現しました。MORINOTAYORI 12