ブックタイトル森林のたより 807号 2020年12月

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概要

森林のたより 807号 2020年12月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0585ー23ー1111揖斐農林事務所まで治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会で発表された研究課題を紹介します。林道法面における獣害対策について揖斐農林事務所本間誠太郎3.鹿止(しかと)金網工法・一般的なラス金網と同じ直径2mmの亜鉛めっき鉄線を、厚さが3cmになるように立体的に編んだ金網を設置する工法。・金網と法面との間隔が少ないため、侵入抑制効果はないが、最も安価。・植生基材吹付工の施工箇所では金網が基盤材に食い込み、効果が薄れるため、植生マット工や植生シート工の施工箇所に適している。2.アーチブロック工法・ポリエチレン製のネットをアーチ状にして、法面から最大20cm浮かせる工法。・軽量で柔軟性もあるため、地山への馴染みが良く施工性に優れる。・今回の施工箇所では、ネット内にシカの足跡が確認されるとともに、シカの侵入に伴うネットの変形が見られたことから、法面全面に施工する必要があると思われる。・植生基材吹付工が必要な法面に適していると考える。図1メッシュブロック工法(2,600円/m2)ることから、これにより枯死を防ぐことが可能です。今回は、揖斐農林事務所管内で実施した2の対策工法の特徴などを紹介します。いずれの工法も施工後1年経過後も植生の衰退は見られず、良好な状況を保っています。1.メッシュブロック工法・剛性の高い亜鉛メッキ金網を立体構造とすることで法面から15cm浮かせる工法。・剛性が高いことから、法面の周囲(幅2m程度)に設置することで、侵入抑制効果も期待できる。ただし、今回の施工箇所において、法面が1割未満の緩勾配な法面では侵入が認められた。・長大法面等でまとまった面積があり、急こう配な法面箇所において、法面の周囲に設置すれば、コスト縮減が図られ有効と思われる。近年、ニホンジカの個体数の増加と分布区域の拡大に伴い、林業被害や農業被害が増加しています。林道工事では、法面を植生によって被覆し、風化、侵食などを防止して法面の安定を図ることを目的に、植生工を実施していますが、早期緑化に適した牧草系植物はシカが好んで食べるため食害を受けやすく、また、シカの踏み荒らしによる基盤材の落下や植生マットの破損などの被害により、植生工の効果が発揮されない状況となっていることから、対策工の重要性が増しています。シカの食害対策は、1法面へのシカの侵入を防止する方法と、2植生の衰退を防止する方法の2つが挙げられますが、1として周囲に防護柵を設置する方法は、法面面積が比較的小さく、急こう配な工事現場では適していません。このため、近年では2として、金網等を法面から浮かせることで、シカの食害が根元まで及ばないようにし、植生を保つ方法が採用されています。牧草種は根元付近に成長点を持ってい図2アーチブロック工法(2,200円/m2)設置状況設置状況設置状況設置状況断面図断面図断面図断面図植生状況(6か月後)植生状況(6か月後)植生状況(7か月後)植生状況(7か月後)図3鹿止金網工法(1,700円/m2)設置状況設置状況断面図断面図植生状況(5か月後)植生状況(5か月後)MORINOTAYORI 12