ブックタイトル森林のたより 807号 2020年12月

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概要

森林のたより 807号 2020年12月

普及コーナー恵南森林組合の生産性向上の取組支援!■恵那農林事務所河原誠二生産事業体の実態を説明し、生産性を向上させる必要があること、県の補助事業(林業事業体木材生産支援事業)を活用して生産性向上に取り組んでみないかと提案しました。この提案に森林組合は理解を示し、管内で生産性が高い森の樹林産(株)の作本社長を指導者に、生産性向上に取り組むことになりました。同じ地域で木材生産を行う事業体の、技術交流による生産性向上の取組みは成果があがるのではないかと考え、恵南森林組合の生産性向上研修を支援することとしました。生産性向上研修の構成研修は1労働生産性の向上技術に加え、2売上単価アップに繋がる質の向上のための仕分・検知技術、3安全性向上のためのリスクアセスメント、という3つの要素を取り入れて行うことにしました。なお、生産性向上技術の支援にあたり、従来森林組合ではC?A部分が不十分であったPDCAサイクルの活用改善で、研修の取組みが着実に進むよう、林業普及の目標の一つに置いて私も支援に取り組みました。森の樹林産の現場訪問(R.9.18)最初の研修は森の樹林産(株)の現場を訪問し、生産技術を学びました。森林組合で林産事業を行う4チームのうち手始めに1チーム4名と、森林組合で現場統括役の小倉課長、森林組合の研修事業地を担当する施業プランナーで訪ねました。この現場では集材方法、スイングヤーダを投入するタイミング等の作はじめに令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響で原木価格が2千円/m3程度下落し、林業経営環境は一層厳しさを増しています(令和2年10月時点)。このような状況でも人工林の施業・管理は続けなければならず、森林所有者に少しでも多くの収益を還元できる施業実施が、今まで以上に求められます。そこで収益性に影響を及ぼす生産性に着目し、その向上の取組支援を行っていますので、紹介します。現状の把握昨年度に行った伐採専門チーム調査結果から、県内の労働生産性の平均が4・3?5m3/人日であったのに対し、恵那農林事務所管内(以下「管内」)の平均が3・6?6m3/人日と、低い状況でした。生産性が上がらない理由に管内の人たちからは、「急傾斜地である」「人工林の大半がヒノキで蓄積が少なく効率が悪い」「東濃桧の産地であり優良材生産を行っているから」「真砂土地帯が広く作業道の開設が困難であり、効率のよい車両系作業システムの導入が難しい」という意見を聞きます。このような要因から生産性が上がらないということもありますが、管内でも生産性が県平均を超える事業体があります。今は生産性が低い事業体でもその向上に取り組めば、今より生産性を高めることができると考えました。恵南森林組合への働きかけそこで恵南森林組合に管内の木材業手法のほか、タブレット端末を活用した森の樹林産(株)オリジナルの作業日報による工程管理の方法について学びました。この作業日報の特徴は日々の作業の進捗を、全員がタブレット端末上で確認できることです。例えば伐倒主が1日100本元伐りをし幹材積が1本あたり0・3m3とすると、30m3の伐採量が即座に日報に登録できます。集材担当者は、現場に100本30m3の集材すべき材があることが、即座に把握できるようになります。作業が即座に見える化・共有されるため、次へつなぐ作業を意識できるようになり、効率的に作業が行えるようになります。そのことが生産性向上につながることを学びました。また「技術力の高い人」が退職等で欠けたら生産性が落ちたということが無いよう、事業体として若手の技術研鑽に努め、技術力の平準化・一定水準の確保・維持を図ることの重要性についても学びました。▲森の樹林産㈱の現場訪問MORINOTAYORI 14