ブックタイトル森林のたより 808号 2021年1月

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概要

森林のたより 808号 2021年1月

国有林の現場から51赤沼田の天保林木曽ヒノキに近いものが示されました。施業条件や地位が異なることから一概には言えませんが、今後、伐期齢150年とする人工林長伐期施業にあたり参考となる貴重な林分として、更なるデータ蓄積が望まれます。●天保林へのご案内赤沼田の天保林は誰でも自由に入ることができ、駐車スペースもございます。森林内には1kmほどの遊歩道があり、視察に訪れてみてはいかがでしょうか。国道41号から濁河温泉方面に向かって約3kmを右に曲がり、橋を渡って林道を約2km走って行くと駐車スペースがあります。駐車スペースの前には署の職員が製作した木製の案内看板が立っています。(岐阜森林管理署)たのは一割に満たなかったそうで、当時の人たちの苦労がうかがえます。その後、明治初頭にかけて断続的に補植が行われ、大正時代までは枝打ちや間伐が実施されましたが、その後は手を加えられていません。赤沼田の天保林は当時の記録とその現在とを確認できる唯一の造林地です。●天保林の現在天保林は1962年から保護林として自然の推移にまかせた管理が行われ、1972年からは10年ごとに林分調査を実施し推移を観察しています。平成26年(2014年)に行われた調査では、立ち枯れして歩道や林道に対して危険木となったヒノキを伐倒し、これを樹幹解析(成長過程調査)しました。その結果を人工複層林飛騨川計画区収穫予想表と、以前調査した樹齢257年の木曽ヒノキと比較したところ、70年生以降では収穫予想表を大きく上回る樹高成長を示し、肥大成長は・面積2・9?7ha・成立本数870本・樹種別面積割合ヒノキ69%、サワラ13%、スギ2%、その他針葉樹8%、広葉樹8%(2014調査時点)●天保林の由来江戸時代の飛騨は豊富な森林資源を江戸に供給する拠点として、元禄5年(1692)から幕府直轄の天領として統治されていました。しかし過剰な伐採により天領となってからわずかのうちに資源の枯渇が問題となります。そのため亨保6年(1721)より、たびたび植林令を発して、育てる林業へと政策転換がなされました。天保12年(1841)の新植樹令では小坂ほか46村に1年あたり一戸50本の公役造林が課され、赤沼田村では天保13年春に3,625本の植栽が行われ、秋には1,032本の根付き(28・5%)が確認されています。天保14年にかけて合わせて7,000本余りが植栽されましたが、天保15年春の時点で根付い赤沼田(あかんた)の天保林(てんぽりん)は岐阜県下呂市小坂町にある、岐阜森林管理署管内の人工林では、記録として確認できる最も古い時代のものです。●天保林の概要江戸時代末期の天保14年(1843)頃にヒノキを主として植栽された林齢170年を超える人工林で、歴史的にも学術的にも価値も高く、ヒノキ希少個体群保護林に指定して保護されています。・所在地下呂市小坂町赤沼田赤沼田国有林232い、ろ林小班▲赤沼田天保林▲カツラの大木▲樹高36m、大ヒノキMORINOTAYORI9 MORINOTAYORI