ブックタイトル森林のたより 810号 2021年3月

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概要

森林のたより 810号 2021年3月

国有林の現場から53岐阜森林管理署におけるニホンジカ対策岐阜県の南東部に位置する加茂郡七宗町に所在する七宗国有林では、ニホンジカによる造林地被害を防ぐための取り組みが平成30年度から継続して行われています。特徴としては、忌避剤による植栽木の防護とニホンジカの生息数を減らすための捕獲を並行して行うことで健全な造林地の生育が図られないかと進められてきたものです。言った食害の痕は認められず良好に生育していました。林分が開け、明るくなった箇所を好む習性があると言われるシカから、新植地への被害を防ぐうえで捕獲は有効な一手法であり、防護と同時に捕獲圧(個体数の急激な増加へのブレーキ)をかけ続けることが重要であると考えます。また、設置後はこまめに行わなければならない見廻りについても、省力化に向けドローンを活用するなど、低コスト造林を目指して更なる向上を図って行きたいと考えます。(岐阜森林管理署)して捕獲効率の向上を図りました。その結果、捕獲を開始した平成30年度当時には、1年間にオス5頭、メス11頭、計16頭のニホンジカが捕獲されました。面積が約1・7ヘクタールの造林地1箇所だけで捕獲されたその数字は、七宗国有林の全域で捕獲された年間捕獲頭数の過去5年間の平均である18頭に迫る数字となりました。他の箇所に比べて捕獲効率が優れる傾向は、現在でも継続しており捕獲効率の向上に有効な手法であると考えます。また、実際にセンサーカメラに写った個体数が多かった月は、「出産期」の5月、「繁殖期」と言われる9月・10月と一致しており、それらの時季に活発に移動する事をうかがわせる結果となりました。令和2年の11月にも現地を踏査して植栽木を確認しましたが、これと忌避剤のみの対応では、時間の経過と共に忌避剤の効果が薄れることや、生長して新たに伸びた新芽が食害を受けてしまうこと、また、シカの生息密度が高まるにつれ防護効果が低下するなどの調査報告が示されたことから、捕獲を並行して行うことでその点を補おうと考えました。捕獲には、笠松式改良型のくくり罠を使用しています。効率よくニホンジカを捕獲するためには、獣道(シカ道)を見つけることが肝心だと言われますが、明らかに獣道だと思われる場合でも、それが現在は使われていない古い道跡では意味がありません。その為、くくり罠と共にセンサーカメラを造林地の周りを囲むような形で設置し、実際にシカが往来するシカ道探しに活用しています。センサーカメラによりシカの進入経路や移動ルートを探りながら、頻繁にシカが写るセンサーカメラの周囲にくくり罠の位置を調整するなど▲取り組み箇所(七宗国有林)▲センサーカメラに写ったニホンジカ▲ドローンを活用した見回り作業MORINOTAYORI1111