ブックタイトル森林のたより 811号 2021年4月

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概要

森林のたより 811号 2021年4月

地域の間伐材を利用した薪ボイラー・薪ストーブのイチゴ栽培への導入冬季にイチゴを栽培される恵那市上矢作町の石川農園では、環境に配慮した循環型農業を目指し、清流の国ぎふ森林・環境基金の「木質バイオマス利用施設導入促進事業」により、薪ボイラー、薪ストーブを導入されました。この導入により、6棟(1棟:6?×70m)のハウスを温め、ハウス一面に広がるイチゴを育て、またイチゴ狩りの観光農園としても利用されています。本記事では、農業用ハウスへの地域の森林資源を活用した薪ボイラー、薪ストーブの導入事例について、紹介します。川下へ流れつながる矢作川上矢作町は、矢作川の源流域に位置し、石川農園のイチゴハウスのすぐ脇にも流れています。そのため、地元の山々に育つ森林により蓄えられた良質で豊かな水が、隣県の愛知県の各地へと流れていき、地域の生活・産業に利用され、最終的に三河湾まで注がれています。つまり、イチゴ栽培にて薪を使うこと、水源地域である地元の豊かな森林を再生、維持することは、地元の山村地域の経済を発展させるだけでなく、下流域の生活を支え、寄与しているのです。薪ボイラー・ストーブの暖かさ、真っ赤に実ったイチゴを堪能しに、皆さまもぜひ上矢作町の石川イチゴ農園へ行かれてみてはいかがでしょうか。【県産材流通課時任大樹】を通して温水を循環させることで培地の地温を高める仕組みです。また、夜間にハウス内の室温を温める目的で、薪ストーブが利用されています。地域の間伐材(未利用資源)の活用今回、導入されたボイラー・ストーブの特徴として、重油を燃料とするのではなく、地域で調達した間伐材を燃料としています。上矢作町は森林率95%の山村地域ですが、人の手により植えられたスギやヒノキの人工林の割合が高く、近年、間伐など手入れの不足により森林の荒廃が進み、水源涵養機能が低下しています。山村地域で農業を経営するうえで未利用の地元の森林資源を有効利用することが、地域経済を循環させ、地元の森林、水源の保全につながると石川代表は考えられました。そこで、地元の「NPO法人奥矢作森林塾」による人工林の再生に向けて取り組む活動において搬出される間伐材や林地残材を有効利用することにされました。そして、地元の老人クラブの方々の手で薪にしてもらい、ボイラー・ストーブの燃料としています。この取組みにより、山村地域ならではの、地元の森林資源による持続可能な農業経営が期待されます。イチゴ栽培における暖房イチゴは12月頃から5月末にかけ栽培、収穫され、特に厳寒期にはイチゴの生育、収穫量にも影響することから、ハウス内の暖房に加え、培地(根域)の加温が必要となります。薪ボイラーは、ボイラー隣のタンクに温水を蓄熱・貯湯させ、棚を組み高い位置に設置された培地中にチューブ導入された薪ボイラーと石川農園の石川右木子代表薪ストーブ(手前)とハウス内で栽培されるイチゴハウス脇を流れる矢作川と石川代表MORINOTAYORI 10