ブックタイトル森林のたより 812号 2021年5月

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概要

森林のたより 812号 2021年5月

国有林の現場から55岐阜署における『多様な森林づくり』への取組について和2年と相次いで発生した豪雨災害等の影響から、地域住民の災害に強い森林づくりへの関心が非常に高くなっています。このため、当署は中部森林管理局が主体で行う多様な森林“見える化”プロジェクトの対象署でもあることから、国有林の公益的機能の発揮や地域住民の要望に応えるためにも、「災害に強い森林づくり」を重要なテーマとして掲げ『多様な森林づくり』を進めることとしました。●具体的な取組について岐阜署では、まず「災害に強い森林づくり」を、左の5項目に定義付けしました。1山崩れを防ぐために沢沿い・尾根沿いは保残する。2広葉樹を活かした施業を実施する。3下層植生の侵入を促すために適度な間伐を実施する。4裸地化を防ぐために極力皆伐を控える。5急傾斜地での車輌系集材を行わない。●はじめに岐阜森林管理署は、岐阜県内10市町村に所在する約4万ヘクタールの国有林を管轄していますが、そのほとんどが河川の上流域や県境周辺に位置しています。そのため、水源のかん養や国土保全といった公益的機能を発揮することが強く求められています。また、岐阜県が実施した県政モニターへのアンケート結果や下呂市で平成30年・令者の方々を対象に国有林が行う多様な森林づくりについての現地検討会を実施できればと考えています。●今後の課題について多様な森林づくりを進めていくに当たり検討した結果、保安林指定施業要件の見直しの必要性や、架線技術の継承が進まないことによる架線技術者不足、国有林野事業の採算性向上のためのコスト削減などの課題があることがわかりました。これらの課題については、多様な森林づくりと並行して解決に向けて取り組んでいきたいと考えています。特にコスト面については、今後獣害対策や保育などについてコスト比較をしながら当署の検討課題としていきたいと考えています。●おわりに『多様な森林づくり』は、それぞれの現地に合った多様な施業を行うことで健全な森林を造成し、国有林のもつ公益的機能を最大限に発揮させることであると考えます。その中で、当署では『災害に強い森林づくり』をキーワードとして、今後も地域住民の要望に応えられる山づくりに努めていきたいと考えています。(岐阜森林管理署)これらを前提に、多様な森林“見える化”プロジェクトの設定箇所内の落合国有林133は・134は林小班について、森林調査簿や現地の状況を確認して、保安林指定施業要件に留意しながら伐採する区域や搬出方法を検討しました。また、当署の職員を対象に多様な森林づくりについての勉強会を実施し、実際の現地で天然の稚樹や広葉樹が多く発生している箇所や急傾斜地の森林を視察して、天然力を活かした施業方法や単層林を複層林へと誘導していくことの重要性について検討しました。今年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり勉強会の対象者が署の職員のみとなってしまいましたが、今後は県・市町村や請負事業体の関係▲R2年7月豪雨被害(国道41号線)▲多様な森林づくりの勉強会の様子MORINOTAYORI 20