ブックタイトル森林のたより 812号 2021年5月

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概要

森林のたより 812号 2021年5月

この度の人事異動で林政部長を拝命いたしました。重責に身の引き締まる思いですが、皆さまのご協力をいただきながら、精一杯努めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。さて、昨年1月に国内で初めて確認された新型コロナウイルス感染症は、外出の自粛やイベントの中止など、我々の生活に大きな影響を与えました。森林・林業・木材産業分野でも木材需要の減少に伴う木材価格の低下や生産量の調整、最近では回復した木材需要に供給が追い付かないといった影響を受けました。また、展示会や対面による商談会の中止も相次ぎました。新型コロナの影響は先が見通せない点もありますが、ウィズコロナ、アフターコロナ社会を見据え、WEBを活用した販路拡大活動への支援や木材の需給調整機能の強化などを推進してまいります。また、県内に大きな被害をもたらした昨年7月の豪雨災害のように、近年、集中豪雨による災害が、激甚化、頻発化しています。こうした災害から県民の皆様の安全・安心な暮らしを守るため、災害に強い森林づくりを推進してまいります。特に今年度からは、市町村や林業事業体と連携した事前防災モデル地区を設定し、治山施設の整備と間伐などの森林整備を組み合わせた、総合的な防災対策を実施してまいります。さらに、本県の豊かな森林を守っていくためには、県民の皆様に本県の森や木に親しみ、森林とのつながりへの理解を深めていただくことが重要となります。このため昨年7月、木育の拠点施設「ぎふ木遊館」を岐阜市内に、森林教育の拠点施設「森林総合教育センター(愛称:morinos)」を美濃市の森林文化アカデミー内に、それぞれオープンしました。新型コロナの影響で利用方法などを制限してきましたが、非常に多くの方にご利用いただき、好評を得ているところです。今後も両施設の連携を強化し、「ぎふ木育」の拠点としての充実に努めるとともに、移動型体験プログラムを実施するなど、全県下で「ぎふ木育」を体験していただく機会を提供してまいります。このほかにも、本県の森林・林業・木材産業の推進のためには、林業のICT化や森林技術者の確保・育成、木材需要の拡大、森林サービス産業の育成など、様々な施策に取り組む必要があります。また、SDGsの達成や、脱炭素社会の実現に向け、社会から寄せられる期待も大きくなっています。このため現在、今後5年間に取り組む森林づくりの具体的な施策とそれに基づいた取組みを総合的かつ計画的に推進するための「第4期岐阜県森林づくり基本計画(R4年度~R8年度)」の検討を進めているところです。いずれにいたしましても、様々な施策を通じて、本県の森林・林業・木材産業をより一層推進してまいる所存ですので、皆様のご支援、ご協力をお願いしまして、就任のご挨拶といたします。重点施策:令和2年7月豪雨災害を踏まえた山地防災力の強化1治山施設の整備による山地災害の未然防止令和2年7月豪雨では、下呂・飛騨地域を中心に県内各地で44箇所、約24億円の山地災害が発生しました。今後も頻発する恐れがある豪雨災害から、県民の生命・財産を守り林業の振興を図るため、治山施設の整備と森林整備の基幹となる林道の長寿命化を進めます。新?市町村等と連携した治山施設と森林整備を組み合わせた事前防災モデル地区の整備(293,200千円)・市町村や事業体と連携した事前防災モデル地区を設定し、間伐などの森林整備と、不安定土砂の移動を防ぐ谷止工、土石や流木を捕捉するスリットダム等の治山対策を総合的に実施?山地災害危険地区対策の推進(1,618,494千円)・山地災害の発生危険度を把握するため、県内民有林の山地災害危険地区調査を実施するとともに、治山施設設置等による予防、減災対策を実施?既存治山施設の機能強化と長寿命化(292,006千円)・土石流や流木災害被害に対応するため、治山施設個別施設計画に基づき既存治山施設を計画的に維持修繕するとともに、嵩上げや流木捕捉施設の追加等の機能強化対策を推進?林道施設のインフラ長寿命化対策への支援(83,156千円)・市町村が実施する橋梁等林道施設の点検診断や保全整備など、地域の道路ネットワークの補完や災害に強い森林づくりのための取組みを支援2データの活用と支援体制強化による山地災害の未然防止森林地域のデジタルデータにより山地災害リスクを的確に把握し、治山事業や森林整備を計画的・効果的に実施することで山地災害を未然に防止します。?航空レーザ測量データを活用した効果的な治山対策(95,202千円)・航空レーザ測量によるDEM(4点/m2)のデータ取得及び解析を実施し、山地災害の素因となる微地形を詳細に把握新?頻発する山地災害に対する市町村支援体制の強化・治山課内に市町村向けの総合窓口を設置し、災害発生時の市町村の初動対応や復旧事業を支援新?各種データ解析による災害リスクが高く間伐が必要な森林の抽出(12,448千円)・航空レーザ測量データ等の解析により、災害発生の危険度が高く早期に間伐が必要な森林を抽出し、その情報を市町村に提供重点施策:コロナ社会における県産材の需要拡大3都市部や海外に向けた販路拡大林業・木材事業者が行うコロナ社会に対応した新たなビジネス手法の導入や、国内外での新たな販路拡大に向けた取組みを支援することで、減少した木材需要林政部の令和3年度一般会計当初予算の総額は、186億6千691万9千円で、前年度と比較して約20億3千万円、率にして9・8%の減額となりましたが、令和2年度3月補正予算に計上した「防災・減災・国土強靱化のための5か年加速化対策」にかかる国補正予算の公共事業分、約20億8千万円を加えますと、前年とほぼ同程度の予算規模となっており、大きく3点について重点的に取り組みます。一つ目は、「令和2年7月豪雨災害を踏まえた山地防災力の強化」です。令和2年7月の豪雨災害により森林・林業分野でも多大な被害が発生したことを受け、「治山施設の整備による山地災害の未然防止」に取り組むとともに、航空レーザ測量等の「データの活用と支援体制強化による山地災害の未然防止」を進め、災害に強い森林づくりを推進してまいります。二つ目は、「コロナ社会における県産材の需要拡大」です。新型コロナウイルス感染症の影響により木材需要が低迷したことを受け、「都市部や海外に向けた販路拡大」を進めるとともに、「新たな需要の開拓と製品開発」を支援してまいります。三つ目は、「コロナ社会における森林・林業の担い手対策」です。担い手不足が深刻化する中、限られた人材で効率的に林業を行うため、ICT導入による「生産性向上に向けたスマート林業の推進」と「新規就業者の確保・育成・定着」に取り組んでまいります。以下、主な事業をご紹介します。岐阜県林政部予算のあらまし令和3年度就任のご挨拶岐阜県林政部長高井峰好MORINOTAYORI 4