ブックタイトル森林のたより　812号　2021年5月

概要

森林のたより　812号　2021年5月

プログラム紹介！！岐阜県立森林文化アカデミー内にある森林総合教育センター（愛称morinos）で実施しているプログラムについてご紹介します！今回は、３月６日にオンラインで開催した「鹿革ハンドクラフトづくり」をご紹介します。morinosでは、大人から子どもまで、すべての人と森をつなぐことを目的としています。今回は、森林教育プログラム「鹿革ハンドクラフト」を新型コロナウイルス感染症の影響もあり、オンラインで開催しました。「鹿革ハンドクラフト」では、獣害対策で駆除した鹿の皮を活用した、普段使いできる革製品（ペンケース）づくりを通して獣害の現状や、その対策について知ってもらうとともに、森林を身近に感じてもらうことを目的に開催しました。通常の対面プログラムの場合は、一室に集まり、講師の手元を見ながらクラフトづくりを行うものですが、オンラインでもできるように作業工程を見直し、事前レクチャーと当日の２日間で実施するプログラムとしました。事前レクチャー事前レクチャーは約３０分程度で、現役の猟師でもあるホールアース自然学校の浅子智昭（ニックネーム・あなご）さんが担当しました。道具と材料の確認、使い方の説明やオンライン環境の確認をしたのち、シカが増えすぎて植林地や牧草地が荒らされている現状や、罠や銃による猟の方法、人と犬が協力して行う銃猟の方法などを現役猟師ならではの視点で伝えました。また、今回の材料は獣害対策として駆除したニホンジカを材料としており、肉をジビエとして利用し、普段は捨てられることの多い皮をなめして利用することについて説明するとともに、捨てられてしまう「皮」から日常にある「革」へと姿を変える今回のプログラムを通して、日常の中で森とのつながりを感じてもらえたらうれしい、とお伝えしました。当日製作クラフト製作の講師は、説明者をホールアース自然学校の小野亜希子（ニックネーム・おのちゃん）さん、オンライン操作を浅子智昭（あなご）さんが担当してくれました。カメラは説明者用と手元解説用の２台で実施しました。当日プログラムはオンライン画面越しに、製作手順を説明しながら参加者各自で作っていただきました。用意された鹿皮の裏側部分からファスナーを縫い付け、それぞれの部材も縫合して完成です。実際にオンラインでプログラムを実施してみると、対面と違い、画面越しに質問・説明をするため、時間がかかります。また、同時に1人の対応しかできないため、さらに時間がかかりました。結果、予定の３時間を超えて約５時間後、全員無事に完成しました。革クラフトは基本的に裏返して縫っていくため、最後にひっくり返して表面を目にした時の感激・安堵感はひとしおでした。▲講師のおのちゃん（左）とあなごさん（右）▲必要な道具や材料がセットされた鹿革クラフトキット▲画面共有で資料を参加者に分かりやすく提示▲完成した鹿革ペンケース▲手元をアップにしてわかりやすく説明▲完成したペンケースと画面の向こうの講師オンラインならではの課題も見えてきました。質問に対する説明に1名ごとにしか対応ができないため時間がかかること、対応できる人数が対面に比べて少ないこと、カメラやバッテリー、通信などの機器トラブルへの対応があげられますが、オンラインならではの参加のしやすさや作業映像を後日オンデマンドで見ることを可能にしたなど、利点もあります。参加者からは、「必要な道具や材料が届き、自宅で体験できるのは参加しやすい」、「獣害の現状について本物の猟師の方から教えてもらえてよかった」、「自分で作る、使うことで森とつながるんだと思うと毎日が楽しみ」などの感想をいただきました。身近に使える革製品を自らの手で作る。その素材は森の生態系のバランスが崩れ、人の手で駆除された野生動物。人と自然の関わり方について考える入口になってくれることを願っています。こうした体験はmorinosのHPで開催をお知らせしています。多くの皆様のご参加をお待ちしております。興味を持ってくださった方は、morinosのホームページ、動画You Tubeをご覧ください。ホームページhttps://morinos.net開所時間１０：００～１６：００YOU TUBE検索「morinosチャンネル」定休日毎週火・水曜日9 MORINOTAYORI