ブックタイトル森林のたより 814号 2021年7月

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概要

森林のたより 814号 2021年7月

活かす知恵とを森林人102●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー准教授●辻充孝木材の輸送過程を見つめるウッドマイルズ例えばV字柱は私たちが演習林に入ってマーキングし、どの経路で加工されて戻ってきたかの全てわかっているため流通把握度は100%です。ですが、合板や集成材などは岐阜県産材を使用したということはわかっていますが、全ての材で、どの山から伐出してきたかは把握しきれていません。それでも8割近い把握ができています。3.CO2削減率3つ目の指標が「CO2削減率」です。木材の輸送過程でのCO2排出量が国内平均と比べて削減された割合を示しています。m orinosのCO2削減率は80・3%と計算されました。(3931kgのCO2削減)例えば、海外からやってくる船便は大量の木材を効率的に輸送できますが、国内輸送のトラックは燃費が悪く、同じ材積、同じ距離を輸送するのに20倍以上ものCO2を排出することもあります。これらを考慮しても8割以上の削減を実現しています。近くの木で建設する魅力は、携わった方の顔が見えやすく建物への愛着がわいたり、山の健全化につながったり、仕事を生み出し地域経済の活性化につながったりと様々です。近くの木であることを定量的に表せるウッドマイルズ評価も活用してみませんか。「ウッドマイルズ」という言葉をご存知でしょうか。名前の通り、木材(ウッド)の輸送距離(マイルズ)に関する環境指標です。今でこそ林業白書にも登場しますが、きっかけは森林文化アカデミー1期生の課題研究です。2020年に学内にオープンした岐阜県産材100%のm orinosを例にウッドマイルズ3つの指標を見てみましょう。1.ウッドマイルズ1つ目の指標は「ウッドマイルズ」です。木材1m3あたりの平均輸送距離です。m orinosのウッドマイルズは123kmと計算されました。あれっ、意外と大きい??長野県や滋賀県まで行ってしまいそうです。例えば、正面のV字柱の原木は、アカデミー演習林で調達しました。そのまま学内で加工して使用すれば、ウッドマイルズは1kmもないでしょう。ですが、さすがにアカデミーで加工するわけにもいかず、51・9km離れた郡上市白鳥町にある工務店の加工場で、木材乾燥や材料検査、大工さんによる加工を行い、再度アカデミーに戻しています。ウッドマイルズは往復で103・8kmとなります。m orinos全体平均の123kmに近いですね。では、外材を使うとウッドマイルズはどの程度でしょうか。例えば、梁によく使用される米松で、概ね8,200km、建具や家具などに、よく使用される欧州材で、概ね21,400kmです。m orinosのウッドマイルズ123kmが、いかに近くの木材かがわかります。2.流通把握度2つ目の指標は「流通把握度」です。伐採された山から現場まで、どれだけ経路を把握できているかの割合を示す指標です。m orinosの流通把握度は77・5%と計算されました。V字柱が特徴的なmorinosV字柱に使用した演習林内の100年生ヒノキMORINOTAYORIMORINOTAYORI 1212