ブックタイトル森林のたより 815号 2021年8月

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概要

森林のたより 815号 2021年8月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー4011中濃農林事務所まで治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究等の取り組みを行っています。令和3年2月に行われた発表会で発表された取り組み成果を紹介します。?郡上市八幡町西乙原字樫ヶ平地内における治山施設災害復旧事業について?中濃農林事務所松原智治山・林道技術成果復旧方針本被災箇所の状況と既存の鉄筋挿入工を考慮して復旧方法を検討しました。オレンジ色で示す線は、鉄筋挿入工の長さを決定する際に想定した円弧すべりです。緑の一点鎖線で示す線が礫層と強風化砂岩を示しています。倒壊した土留工の基礎は、約2mの礫層に乗っていたことがわかります。以上から、強風化チャートの上がすべり面(緑一点鎖線)と考え、復旧計画を策定しました。治山施設災害復旧事業を申請するにあたり、「原形復旧」とすれば、土留工を計画しますが、不安定な層があることから土留工による復旧は困難または不適当と判断し、「鉄筋挿入+法枠工」で申請することとしました。復旧計画最上部は、令和元年度施工と同じ鉄筋挿入工(4・9m)とし、最上部以外は、縦断図で示した2mの礫層を抑えるため鉄筋挿入工(2・9m)、礫層1m以下の範囲においては現場吹付法枠工を計画しました。まとめ今回の治山施設災害復旧事業を受けるにあたり、以下の重要なポイントがありました。1被災した施設の確認のため既存治山施設の台帳管理が重要、2災害復旧事業は申請主義のため、申請しなければ対象であっても後で追加できないので、申請内容の漏れ防止が重要、3災害応援協定に基づく応急仮工事について、維持工事以外であれば認められる可能性があるため、事前に確認することが重要、4復旧見込み事業費について、早期に事業費の照会があり、設計未確定での報告となり過少報告すると事業費に縛られ申請内容に影響が出てしまうため、できる限り設計を早期に進め、事業規模を把握することが重要。最後に、災害はいつ起こるかは分かりません。今回の事業化へ向けた流れを参考にしていただき、今後の業務に役立てていただければ幸いです。しかし、不安定な土砂が斜面上にあるため、道路管理者である郡上土木事務所は安全が確保されるまで通行止めとしました。はじめに令和2年7月、郡上市西乙原字樫ヶ平地内において山腹崩壊が発生しました。幸いにも人的被害はありませんでしたが、崩壊箇所には既設の治山施設があり、近接する施工地を含めて被害を受けました。この崩壊に対して行った治山施設災害復旧事業への流れを紹介します。災害の概要本地区では7月の累加雨量が1016mmとなり、記録的な大雨となりました。令和2年7月26日、予防治山事業(令和元年度)で施工した山腹工の法頭付近で崩壊が発生し、施工地内にあった土留工(ブロック積)が倒壊し、更に隣接する施工地も被災しました。崩壊土砂は平成30年度に設置した高エネルギー吸収落石防護柵が捕捉したため、下方の主要地方道大和美並線には被害はありませんでした。▲黄色矢印箇所を望む▲被災箇所全景▲縦断図MORINOTAYORI 14