ブックタイトル森林のたより 816号 2021年9月

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概要

森林のたより 816号 2021年9月

活かす知恵とを森林人104●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー教授●池戸秀隆事故防止ヒヤリハットの芽を摘むる事例を挙げていますが、現場経験を重ねるうちに「急斜面で足元が滑る」、「シダで地面が見えず踏み抜く」、「枝払いした枝の上に乗って滑って転びそうになる」など、その現場の特性から起因する問題を挙げるようになります。さらに、記録を見ていくと、ある班で把握したヒヤリハットは、他の班でも同様に起こっていることがわかりますこ。れらのことから、第1に現場特性から生じたヒヤリハットはリスクとして早期に認識すること。第2に、できるだけ早く作業関係者で、現場特有のリスクを共有し、次回以降でリスクアセスメントを行い、自分のレベルで可能な低減対策を検討することが大切だと考えます。この2つを徹底することがヒヤリハットの芽を摘み重大事故の防止に役立つのではないかと考えています。皆さんの現場はいかがでしょうか。ハインリッヒの法則労働災害の話で「ハインリッヒの法則」を耳にされた方も多いと思います。この法則は、アメリカの損害保険会社で技術・調査に携わっていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが、ある工場で発生した数千件の労働災害を統計学的に調査し、1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件のヒヤリハットが隠れていることを見出したものです。個人的には、この図がピラミッドの形に見えるので、「ハインリッヒのピラミッド」と呼んでいます。実際のピラミッドは大小の石材が積み上げられた建物ですが、頂上の石も基礎にある石が無ければ積み上げることはできないでしょう。つまり、「ヒヤリハットという基礎の石」が欠ければ、ハインリッヒのピラミッドは崩れてしまうことになります。ならば、頂上となる重大事故を発生させないために、その基礎となるヒヤリハットを取り除く(ヒヤリハットの芽を摘む)ことが重大事故を防止する有効な手段になるでしょう。では、具体的にどうすれば「ヒヤリハットの芽を摘む」ことができるでしょうか。アカデミーでの取組み本学では毎年、0・1ha程を皆伐し、高性能林業機械を使って素材生産する実習を行っています。学生にとっては初めての本格的な現場実習になります。伐木造材、集材、運材という作業を20名程の人数で4班に分け、班を回しながら行います。最初に行う立木伐倒では、不安を抱えながら、誰もが慎重にチェーンソーを操作します。樹高20mを超える立木を倒すので、無理もありません。中には追い口に向かって刃を進めることを躊躇する学生もいます。今までは机の上で得た知識や安全な平場での伐木練習経験でしたが、山の現場は少し勝手が違います。リスクアセスメントの記録によれば、初めの頃に取り上げるリスクは、「伐倒作業で、かかり木の下敷きになる」など教科書に出ていハインリッヒの法則演習林での伐木造材実習MORINOTAYORI 12