ブックタイトル森林のたより 816号 2021年9月

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概要

森林のたより 816号 2021年9月

国有林の現場から59「木曽式伐木運材図会」の世界(前)から谷に下ろして、川に流して、市場である名古屋まで、木材を運ぶ様子が描かれています。●岐阜県との関わり「長野?木曽?それなら岐阜県とは関係ないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これが大いに関係するのです。木曽ヒノキで知られる長野県木曽地方は、江戸時代は「裏木曽三ヶ村」と呼ばれた旧加子母村、旧付知●絵巻物の概要長野県長野市にある林野庁中部森林管理局には、「木曽式伐木運材図ず会え」と呼ばれる江戸時代後期頃の木の伐採と運搬についての様子が描かれた絵巻物が保管されています。上巻二十点、下巻二十一点の絵から構成され、山奥の木を調査し、切り出すところからはじまり、山なしかけや工夫をほどこして、山奥から谷へ木材を下ろし、沢の水や川の流れを利用して、なるべく少ない労力で運ぶ方法が徐々に確立していきました。この方法が固まったのが江戸時代前期頃だと考えられています。「木曽式伐木運材図会」では、こうした時代の山での仕事の様子や、運材の工夫、道具などが描かれています。●詳しく知りたい方は林野庁中部森林管理局発行の広報誌「中部の森も林り」では令和2年5月号から令和3年4月号まで「木曽式伐木運材図会の解説」が12回連載されていました。内容にご興味を持たれた方は、中部森林管理局のホームページからご覧下さい。次回の後編では岐阜県内と考えられる場面と昔の運材の写真をご紹介します。(中部森林管理局技術普及課)村、旧川上村と同じく尾張藩領でした。鉄道も無かった時代、木曽ヒノキは木曽川を使って、岐阜県内を通過しながら名古屋白鳥の貯木場まで運び出されていました。また、「木曽式伐木運材図会」という作品の成立自体も、詳しいことは判明していないものの、江戸時代末期に飛騨で書かれた「官材画譜」という絵図が原画になっていると考えられています。この為、登場する風景も飛騨川周辺のものが多く含まれていると思われます。●機械化以前の伐木運材山林で自動車や林業用の機械が使われる以前の時代、深い山奥から伐採した木材を、川下の街場や都市に運び出すのには大変な労力が必要でした。人あるいは牛馬で木材を運ぶのは大変なコストがかかりました。そうした中で、様々▲木曽式伐木運材図会の一部▲運材をめぐる位置関係▲急傾斜地で貴重材をゆっくり吊り降ろしている「釣つり木き之の圖ず」MORINOTAYORI 18