ブックタイトル森林のたより 816号 2021年9月

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概要

森林のたより 816号 2021年9月

岐阜県森林組合連合会のお仕事その1エバ初号機?の開発を目指して■岐阜県森林組合連合会荻巣雅俊私は、山の中の伐採現場を訪れる度に、倒された大きなスギも浮き輪のように空気を抜いて運べたらどんなに楽なことかといつも思っています。木は、昔からかさばって重いものと相場が決まっていました。産業革命以来、動力の技術進歩により、現場で木を扱うときその重さは、少しずつ気にならなくなってきましたが、相変わらず、木はかさばって、扱いづらいものです。木は、人が手をかけたとはいえ自然物であるので、伐採された丸太は、1本として、同じものはありません。数学で習う円錐台に出会うことはめったにありません。なので、私は、林業の話をするとき、丸太の加工からはじめることとしています。岐阜県では、令和2年度に約58万m3の丸太が生産されたと推測しています。その丸太の多くは工場に搬入され、建築用材になったり、細かく砕かれチップとなり、パルプ原料やバイオマス原料になったりします。特に、建築用材は、柱、梁や桁等数多くの製品の種類があります。そのため、県内の製材工場は、それに合わせた製材システムが導入されています。このような事情から、工場(需要側)からは、原料となる丸太の形状に関して様々な要請が出てきます。岐阜県森林組合連合会(以後、県森連)は、この工場側の需要と山側の丸太の供給を結びつける仕事をしています。まず、突発的に出てくる需要に対しては、県内3つの市場で年67回開催する市で買い方さん(需要側)に直接丸太を見てもらい購入してもらっています。計画的な需要に対しては、丸太の伐採現場から工場へ直送する方法を行っており、この方法を県森連では、「システム販売」と名付けています。この2つのやり方で、県森連の丸太取扱量は、令和2年度は、約22万m3となっています。システム販売は、丸太取扱量の約70%を占めるようになっていますが、工場へ計画どおり丸太を供給することは、なかなか難しいことです。前述したとおり、各工場が望む丸太の規格は多様です。このため、サイズやキズや曲がり具合等を工場毎に細かく規格を決めて供給して行くことになりますが、何せ丸太は、自然物なので、事前調査で目論んだとおりの規格・量で出材はされてきません。県森連では、県内の多くの伐採現場の供給情報と工場の需要情報をリアルタイムで結ぶシステムを開発し、効率的な需給調整を行っています。その中で、かさばる丸太の運搬は、最もやっかいです。そこで生じるロスは、山側・工場側・運搬の収益増を妨げます。直送の主な方法は、山土場での丸太の粗仕分けとトラックへの積み込み、中間土場と呼ぶ大型トラックが乗り入れ可能な大きな広場に丸太を運び入れ、ここで細かい仕分けを行い、再びトラックに丸太を積み込み工場へと向かいます。ここで、トラック運搬の効率化を阻むものが林道や農道等の規格です。道幅やカーブ半径は、積み込み容量や丸太の長さを制限させます。当然2tトラックより10tトラックの方が運搬効率は上がりますが、10tトラックが通行不可能な狭い道もたくさんあります。現在、県森連では、トラックの最適な配送システムを県内丸太の需給調整システムに組み山土場中間土場トレ-ラー入れるシステムを、精鋭チームにより開発中です。私は、この新しいシステムを、アニメのエヴァンゲリオンになぞらえて、「エバ試作機」と勝手にあだ名をつけて呼んでいます。その理由は、戦う相手は、天候や景気によって日毎時間毎に変化する需給調整というしろものです。なので、システムが立派でも、それを操るパイロットや指揮官そしてチームクルーがしっかりしていなければ、勝つことはできません。事実、コロナやウッドショックによる県産材丸太価格の変動が、全国に比べ穏やかに推移しているのは、岩木本部長を中心とするこのチームの活躍が大きいとみています。今後は、一刻も早く「エバ初号機」を完成させ、山側からも工場からもそして運送業の方からも喜ばれる丸太の流通を目指していきたいと思っています。しかしながら、このチームのクルーの人数が充分というわけではありません。新しい力が必要です。もし、この記事を見て、一緒に働きたいと思った方は、どうぞ問い合わせをお願いします。MORINOTAYORI 20