ブックタイトル森林のたより 817号 2021年10月

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概要

森林のたより 817号 2021年10月

地域のきのこ生産者~郡上地域編~きのこ類をはじめとする「特用林産物」の生産額は、岐阜県の林業産出額の約4割を占めるなど、山村地域の重要な収入源となっています。また、きのこ類の生産資材である「原木」や「木材チップ」などは岐阜県の森林資源のうち、広葉樹の主要な需要先の一つとなっています。一方、近年、産地間競争の激化や、外国産菌床の増加、さらには生産資材の価格高騰、後継者不足など、県内のきのこ類生産者を取り巻く環境が深刻な状況となっています。そのような中、さまざまな工夫や努力をしながら県内各地できのこ生産に取り組まれる方々をご紹介していきます。(紙面や取材の都合上、一部の方の紹介となることをご容赦ください)株式会社ハルカインターナショナル代表取締役野村克之さん(郡上市)Q1何を生産されていますか?A1しいたけとキクラゲを主力に栽培しています。井上九州男会長より創設のもと、2009年に「しいたけ」で国内初の菌床きのこの〝有機JAS認証〟を取得、その後他社に先んじて「キクラゲ」の栽培に着手し、同認証を取得し、現在では日本最大級のキクラゲ生産業者となっています。Q2栽培拠点は?A2当社は、スギ等の針葉樹を主とする山々に周りを囲まれ、オオサンショウウオやホタル、鮎が生息する清流〝和良川〟の支流である鬼谷川が農場のすぐそばを流れる、郡上市和良町の横野地区を拠点に大規模な生産農場を展開し、栽培に取り組んでいます。Q3栽培方法の特徴を教えて下さいA3当社は、独自の栽培方法を確立し、既存の一般的な栽培方法とは全く異なる規格外な方法になります。Q5全て自前の生産プロセスとは?A5当社の特徴の一つとして、種菌から菌床製造、きのこ栽培、出荷まで全工程を自らで取り組むという、全国のきのこ生産者の中でも稀代な存在です。具体的には、当社農場内の研究所にて自社の種菌を研究開発し、2019年に種苗法による品種登録されました。また、菌床培地には岐阜県産の広葉樹をおがくずにし、栄養体として有機のふすまを混ぜて自社内で菌床を製造します。現在の約160万菌床の製造をライン増設し、今後は倍以上の300万~500万菌床を製造し、当社と協業する事業者により更なる栽培の増大を図って参ります。Q6SDGs循環型農林業とは?A6地域で放置される広葉樹などの雑木を菌床の原料に活用し森林の機能回復、再生を図ります。また、菌床は培地としての利用で終わらせず、有機堆肥としてリユースし、養鶏飼料や薬草栽培に利活用します。これまで価値を見出されなかった雑木が有価品として生まれ変わる、持続可能な農林業の発展につながる最先端の循環モデルを実践しています。Q7最後にPRをお願いしますA7当社での栽培技術を全国へと展開させ、栽培技術を実践する技術者の育成を図って参りたいです。そして、最終目標である〝中東でのきのこ栽培による砂漠緑化〟を目指していきたいです。取材を受けていただき、ありがとうございました。【県産材流通課時任大樹】通常、菌床栽培は密閉されたハウスにてハウス内を無菌状態にし、冷暖房の完備された環境にて栽培します。一方、当社では、冷暖房を全く設置せず、自然開放された簡易なハウスにて、自然界に生えるきのこ菌の本来の力で強く育て、自然に合わせた生産管理で栽培しています。Q4出荷先の現状、海外輸出への展開を教えてくださいA4当社の出荷先として、現在は、しいたけは大手流通業者に、キクラゲは大手外食チェーン店へ主に供給しています。有機JASきのこの需要は拡大の一途にあり、当社では今年2021年より台湾、香港、シンガポール等の海外へ輸出展開を図っていきます。鮮度維持が求められる「生しいたけ」を輸出する事業モデルとしては国内初の取組みです。また、既に海外から高い需要がある「乾しいたけ」についても安全安心かつ高品質な有機JAS商品を輸出し、国産乾しいたけの普及を期待しています。(株)ハルカインターナショナル野村代表取締役ハウス内の棚に並べられた数多の菌床(キクラゲ)MORINOTAYORI 10