ブックタイトル森林のたより 817号 2021年10月

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概要

森林のたより 817号 2021年10月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0572ー23ー1111東濃農林事務所林業課まで治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究等の取り組みを行っています。令和3年2月に行われた発表会で発表された取り組み成果を紹介します。航空レーザ測量データの有効活用可茂・東濃・恵那ワーキンググループ発表者東濃農林事務所山田純司(ワーキンググループメンバー野田昌吾、桝田貴子、福井雄希、林大我)治山・林道技術成果況はほぼ一致しており、机上での荒廃状況調査は有効であることが確認できました。山地災害危険地区調査手法の検討山地災害危険地区の内、対策の必要性が高い箇所に、事業実施の優先順位をつけるため、微地形図を活用した調査の手法を検討しました。具体的には、岐阜県内で山地災害の危険度が高く、整備が未着手となっている危険地区300箇所について、「地すべり地形」、「崩壊地形」、「亀裂・段差地形」、「線状凹地・二重山陵」、「浸食溝」等を微地形図から判読し、対策の優先度を評価しました。また、保全対象への土砂の流出状況や人家の状況については現地調査により確認しました。考察航空レーザ測量の微地形図(赤色立体図)を活用することで、現地調査を行うことが困難な山の奥地であっても、机上で荒廃状況が把握でき、対策の優先度を評価できることが分かりました。今後の課題航空レーザ測量データの活用方法を検討する中で、今後対応が必要と考えられる課題が二つ挙げられます。一つには、職員が行う微地形図による崩壊地形の判読結果に個人差が見られることです。結果に差を生じさせないために、判読についての研修を実施する必要があります。もう一つは、航空レーザ測量により収集した地形データは測量を実施した当時のものであり、豪雨後は現況と乖離してしまうことです。治山事業の計画に地形データを使用するためには、データを新しいものに更新していくことが必要となりますが、県下全域のデータを更新するには多額の費用を要します。この課題については、今後災害等により大きな地形変化が生じた箇所に対し、UAV(無人航空機)を使用したレーザ測量によるデータの補完が必要と考えます。今回は、この測量により取得したデータの有効な活用方法について検討しました。解析図(微地形図)による山林内の荒廃状況の把握航空レーザ測量データの成果品である微地形図(赤色立体図)を利用し、恵那農林事務所管内の10箇所を対象に、机上での崩壊地形の判読を行い、その判読結果が現地の状況と一致しているかを検証しました。恵那市永田地区において、机上調査により崩壊地形と思われる箇所が確認され、現地調査を行ったところ、崩壊が生じていたことが確認できました。また、恵那市西上ヶ平地区においても、同様に崩壊地形が確認できましたが、こちらは現地調査のみでは崩壊地形との判断が困難な箇所であったため、事前に机上調査を行ったことで、崩壊地形の確認に至ったといえます。これらの結果から、微地形図と現地状はじめに航空レーザ測量とは、航空機から地上にレーザ光を照射し、反射したレーザ光から地形や地上物の形状を精密に調べる測量方法です。岐阜県では治山事業の計画に使用する地形データを収集するため、平成25年度から航空レーザ測量を開始しており、令和3年度には県下全域の計測が完了する予定です。▲レーザ計測イメージ出典:国土地理院ウェブサイト▲微地形図(恵那市西上ヶ平地区)MORINOTAYORI 16