ブックタイトル森林のたより 818号 2021年11月

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概要

森林のたより 818号 2021年11月

?平成30年・令和2年の飛騨地域における土砂災害について?飛騨農林事務所横沢広朗●詳しい内容を知りたい方はTEL0577ー33ー1111飛騨農林事務所まで治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究等の取り組みを行っています。令和3年2月に行われた発表会で発表された取り組み成果を紹介します。治山・林道技術成果災害報告箇所(50箇所)は管内東北部を除く広範囲に点在したため、被災箇所の概要を把握するだけでも非常に多くの時間を要しました。災害の状況(令和2年災害)令和2年7月7日からの梅雨前線豪雨により、高山市丹生川町久手字大久手地内で山腹崩壊が発生しました。土砂は約1・5km下流の国道158号まで流出し、民家1戸が一部損壊、国道は7月8日~9日の間全面通行止めとなりました。これにより、職員が現場に到着し、下流から被災状況を把握できたのは、災害発生から2日後の7月10日となりました。また、災害発生後も約2週間雨が降り続いたため、丹生川町久手の崩壊地上流における詳細な現地調査は、災害発生から約4週間後の8月5日となってしまいました。図4は市町村からの報告を受けて、農林事務所職員が現地調査を行った箇所です。被害は高山市東部から南東部の広範囲(74箇所)にわたるため、現地調査に時間を要しました。課題と対策これらの災害事例が示すように、近年の豪雨災害は同時多発的であり、被災状況の把握に時間を要します。このため、限られた人員の中でいかに効率的に情報収集を行うかが課題です。情報収集の効率化を図るため、各農林事務所にUAV(無人航空機)を配備されました。UAVの活用により、現地調査の効率化が見込めます。また、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が解析した衛星からの土砂移動箇所情報も活用し、効率的な被害概要の把握に努めています。今後は各関係機関との連絡調整を一層緊密に行い、迅速な災害調査及び復旧対策に取り組んでいきたいと思います。5日~9日にかけて、再び時間15mm程度の降雨が続き、下呂農林事務所管内の複数箇所で土砂災害が発生しました(図2)。はじめに近年、停滞した梅雨前線の影響による記録的な豪雨が、日本各地で発生しています。飛騨地域においても、平成30年及び令和2年に、線状降水帯の停滞による豪雨で、大規模な山地災害が発生しました。今回の研究では、平成30年及び令和2年災害の対応に関する課題、今後の対策について考察します。災害の状況(平成30年災害)平成30年6月29日に、下呂市萩原町上呂字門洞地内において山腹崩壊が発生、土石流は既存の治山施設を破損し、更に下流の鉄道及び用水施設、人家、市道に流出しました。災害発生時には、時間最大で53mmの降雨が観測されています。災害発生翌日からしばらくの間、降雨は収まり晴天が続きましたが、7月図3高山市丹生川町久手字大久手図1下呂市萩原町上呂字門洞図2 H30年災害調査箇所(赤丸は災害調査箇所)図4 R2年災害調査箇所(赤丸は災害調査箇所)MORINOTAYORI 16