ブックタイトル森林のたより 819号 2021年12月

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概要

森林のたより 819号 2021年12月

活かす知恵とを森林人107●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで「町の木と人で新しい役場をつくろう。」白川町新庁舎木造化のススメ岐阜県立森林文化アカデミー講師●松井匠同基準で判断され木造でも基準をクリアできる。Q、耐久性に問題があるのでは?A、メンテナンスは構造種別に関係なく必要。気候風土を考慮した設計によって、維持管理しやすく長寿命にできる。メンテナンスは町民と職員が一緒になって行うなど、負担ではなく庁舎への愛着につながる楽しみに変えていくことが大切。Q、材料を準備できるの?A、可能。白川町であれば十分な材積がある。調達期間を考慮し無理のない工程が低コスト化に。Q、木材の品質や強度は担保されているの?A、製材等JA S認証工場は県内に35社(うち4社が白川町)、ぎふ性能表示材認定工場は県内に57社あり(うち4社が白川町)※2021年10月現在まとめると、・白川町新庁舎は「地域資源と人材を使い、将来にわたって魅力的なまちづくりに繋がるプロジェクト」・木造は他構造と比べて決して高価ではない。・木造は他構造と比べて性能が劣ることはない。・白川町は木材利用のポテンシャルが極めて高いので木造庁舎建設は十分に可能。この講義の後、新庁舎建設はプロポーザルコンペで設計者が決定し、現在基本計画が進行中である。町民に長く愛される木造庁舎になることを、心から願っている。「白川町でも町役場を新しくするんですよ。木造になったらいいなあって思っていてね。」授業で白川町に行ったときに、町の人とそんな話をしていた。「そうですね、ぜひ木造庁舎にしたいですね」と意気投合していたら、しばらくして新庁舎を木造化するための専門的知見を講義できることになった。森林文化アカデミーは白川町と連携協定を結んでおり、当時の町長を含めた管理職に、木造化のメリットを話し、疑問点の解消をするというものだった。こんな話をした。【白川町新庁舎木造化のススメ】1、「東濃ひのきの町」白川町の特徴・「東濃桧」の生産地で優良な桧を産出してきた。・森林率約87?%。人工林は桧が主体。町の木は桧。・主要産業は林業関連産業で、産直住宅建築に関わる従業者が多数を占めている。・「東濃ひのきと白川の家建築協同組合」は工務店20社で組織され県内最大の建築組合。建築棟数も最大。・三川地区の林業団地には、白川町森林組合、東濃ヒノキ白川市場協同組合(原木市場)、東濃ひのき製品流通協同組合(小径木加工、土木用木製資材、建築用材の加工流通、JA S、木質バイオマス発電)、東濃ひのきと白川の家建築協同組合と生産から消費まで一貫したシステムがある。2、木造化することの意義1地域の木でつくる庁舎は町のシンボル。地域の木でつくることで長く愛される建物になる。RCや鉄骨は町外から買うことになるが、木造にすれば構造材を町内に発注でき地域経済の活性化、地域林業の健全化に貢献できる。2地域の人でつくる地場の建設業者に中大規模木造建築ノウハウが蓄積。若手大工の育成に寄与できユネスコ無形文化遺産である優れた大工技術の伝承に貢献できる。メンテナンスまで町外に発注せざるを得ないRCや鉄骨と違い、木造であれば長期的に町内で完結する。3本物の木ならではの魅力熱を伝えにくく暖かい手触り。衝撃を吸収して足腰への負担を和らげる。光を適度に散乱し目に自然な感じを与える。香りが気持ちを落ち着かせる。ダニやカビの繁殖を抑える。子どもの教育の場で心身の健康に好影響というデータがある。4環境に配慮再生可能な資源である。木造建築として長く使うことは、炭素を固定化し地球温暖化防止に貢献。町内の材料で輸送時CO2排出を大幅削減。3、木造化Q & A(建設コストの比較など)Q、木造だと高いのでは?A、RC造を「木質化」するより、初めから「木造」にした方が安い。建物が軽いため地盤改良費の節約も可能。Q、地震や火事に弱いのでは?A、建築基準法上はRCと同じ。防火・耐震性能については、木造もRCもMORINOTAYORI13活かす知恵とを森林人107●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで「町の木と人で新しい役場をつくろう。」白川町新庁舎木造化のススメ岐阜県立森林文化アカデミー講師●松井匠MORINOTAYORI