ブックタイトル森林のたより 820号 2022年1月

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概要

森林のたより 820号 2022年1月

明けましておめでとうございます。皆様にはお健やかに新年をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。昨年は、アメリカにおける木材需要の急増を端緒として、国産材の不足と価格高騰が生じる、いわゆる「ウッドショック」により、森林・林業・木材産業は様々な影響を受けました。木材価格の高騰は、山側にとってはプラスとなりますが、急激な需要の増加に生産が追いつかず、また工務店におかれては、木材価格の上昇分を住宅価格に転嫁できず、負担が増えるといった課題も生じました。「ウッドショック」の影響がいつまで続くのか先行きは不透明ですが、木材市場のグローバル化が進むなか、今後も起こり得る世界規模の木材需要の変動にも柔軟に対応可能な、県産材の生産、加工、流通体制の強化が必要と考えております。8月の大雨では東濃地域と飛騨地域を中心に多くの被害が生じ、林業分野でも11箇所の山地被害と91路線の林道被害が発生しました。改めて、被災された皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。近年、こうした異常気象による災害の激甚化・頻発化が続いており、県民の皆様の安全・安心な暮らしを支えるためには、治山事業の実施とともに森林が有する公益的機能を高める森林整備が必要です。また、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を実現し、地球温暖化を防ぐためには、間伐や主伐・再造林を積極的に進め、森林を二酸化炭素の吸収源として育てていく必要があります。一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や健康志向の高まりから、都市部での生活様式が見直され、自然を活かした野外活動などが注目されています。こうしたニーズを捉え、山村地域に雇用と収入の機会を生み出すため、森林空間を活用した新たな産業の育成にも取り組む必要があると考えております。現在県では、令和4年度から令和8年度までを期間とする「第4期岐阜県森林づくり基本計画」の策定を進めているところです。計画策定にあたっては、社会情勢の変化やSDGsの達成に向けて森林・林業・木材産業が果たすべき役割を考慮するとともに、人口減少社会下における森林技術者の確保や、減少が見込まれる住宅建設に代わる新たな木材需要の創出など、様々な課題の解決に向け、今後必要となるあらゆる施策を検討し、反映してまいります。また、昨年12月の第6回県議会定例会において、「清流の国ぎふ森林・環境税」を今後5年間継続することが決まりました。第4期森林づくり基本計画を実現するための貴重な財源の一つとして、効果的に活用させていただきたいと存じます。皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。結びになりますが、本年が岐阜県の森林・林業・木材産業の飛躍の年となりますよう祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。年頭のご挨拶(公社)岐阜県山林協会会長日置敏明明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。一昨年発生し日本全国に猛威をふるった新型コロナウィルス感染症も、ワクチン接種が進むにつれ全国の新規感染者数や重症者数が減少し、新規感染者数は二百人を切るまでになるなど新型コロナウィルス感染症克服への道筋が見えてきています。私たちが元の生活を取り戻す方向に向けて一層の努力が必要であると感じています。昨年は、新型コロナウィルス感染症によるコロナ禍により、輸入する外材製品の不足により国産材需要が増加し国産材製品価格、原木価格の高騰といういわゆる「ウッドショック」が発生しました。「ウッドショック」は原木価格の上昇により山側に利益をもたらしますが、この状況が長引けば、住宅部材が木材から鉄、コンクリートなどに変わっていき、その結果木材需要が落ち込み山側に悪影響が出ることが懸念されます。従って、木材需要の急激な変化に対応出来る原木の安定的な供給量の確保体制を早急に整備していくことが、森林・林業・林産業における重要な課題であると考えます。こういった中、昨年の県の6月議会で、知事から、このウッドショックへの対応として、原木供給量を増やすために林業事業体に対し間伐から皆伐へのシフトを働きかけること、木材生産技術者、伐採事業地の確保に向けての新規就業者の確保対策及び木材生産林での境界の明確化、木材需要に柔軟に対応出来る体制整備のため林業のDX化に取り組むことなど三点の具体的な対策の考え方が示されました。早期の実現に大きな期待をしています。平成三十年四月に開始された、適切な経営管理が行われていない森林の整備を市町村が主体となって行う新たな森林管理システム「森林経営管理制度」に関して、県が、昨年十月に、市町村支援強化のため、市町村支援の総合窓口となる「地域森林管理支援センター」を岐阜県森林組合連合会内に開設しました。このセンターは、市町村からの相談対応、制度運用上の課題に関する弁護士等専門家による市町村相談会の開催、市町村への岐阜県地域森林管理士の派遣に関する調整を業務としています。市町村は森林管理に関する専門職員が少なく「森林経営管理制度」の運用に少なからず不安がありました。このセンターの設置は大きな助けとなるもので、このセンターの運用開始により、適切な経営管理が行われていない森林の整備が一層推進されるものと期待しています。昨年の八月豪雨により中津川市、恵那市を中心に県内で多くの山地災害が発生しました。岐阜県では、これまでも治山事業や森林整備事業の推進により「災害に強い森林づくり」が進められてきましたが、対策の一層の推進が不可欠であることが明らかとなりました。県土の八十一パーセントを森林が占める岐阜県においては、防災・減災対策の視点からの県民の安全・安心の確保のためには、治山事業や森林整備事業の推進による健全な森林づくりがその柱となることは言うまでもありません。当協会といたしましても、国や県に対する制度や予算の充実の要請等を通じて、防災・減災対策としての治山事業や間伐等の森林整備事業の推進に寄与してまいりたいと考えております。森林づくりは、「親が植え、子が育て、孫が伐って利用する」という三代にまたがる息の長い営みと言われています。当協会といたしましても、こういった森林づくりの基本を踏まえ、岐阜県の豊かな森林の生み出す多様な恵みを、一◯◯年先の県民も享受できるよう、岐阜県の森林づくりと山村地域の活性化に取り組んでまいりまので、皆様の御支援を御願いいたします。結びになりますが、今年一年の皆様のご多幸を祈念しご挨拶といたします。新年のご挨拶岐阜県林政部長高井峰好MORINOTAYORI3