ブックタイトル森林のたより 821号 2022年2月

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概要

森林のたより 821号 2022年2月

活かす知恵とを森林人109●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで製材から林業と木材利用を知る…岐阜県立森林文化アカデミー教授●吉野安里【体験4、5】【体験3】【体験1、2】心部からは心持ちの柱や梁を、周辺部からは板を木取るほうがよい・・・となると柱や梁の「材面割れ」をどうするか。背割りや高温セット法(ドライングセット)の話へ発展します。板はほとんど無節で、内装材や集成材へ使います。二番玉になると、節は増えますが、反りが少ないことも体験します。●教材としての製材機本学の製材機はレトロです。寸法はデジタル表示ですが、材を転がしながらの一面ずつの製材作業です。この最小限の機能が、教育にはちょうどよい。本学はドイツのロッテンブルグ林業大学と連携しています。先方のデデリッヒ先生が製材の授業を見学され、「我々の学校にも製材機が必要だ」と言われました。教育的効果を見抜かれたのでしょう。製材は、林業、木材利用の教育の上で重要な位置づけにあります。育てる、伐出する、使う、をリンクして考えることができるからです。派生する社会問題や技術的課題の解決にまで発展した学びができます。森林文化アカデミーは、現地現物主義の教育にこだわります。●川上から川下まで本学の敷地内には、演習林と製材機、人工乾燥機があります。林業専攻の学生は実習で演習林の木を伐採します。その木材を製材・乾燥して、建築専攻の学生は実習で小さな木造の建築を行います。製材の背板は、森林環境教育の場で工作や薪に使います。小さいながら川上から川下までの縮図があり、「地産地消」を実現しています。【体験1】挽いてみる素材が製材品になる瞬間に、学生は興味を示します。外観からは想像できない世界があります。新鮮な木肌、木の香り、鮮やかな心材、生節、死節、あて、もめ、腐朽や変色などがあります。樹皮下や木部の穿孔内に、カミキリムシやゾウムシの幼虫が棲息していることもあります。【体験2】施業履歴が見える丸太を髄(心)で挽き割ると、成長の軌跡が見えます。まっすぐではなく、ヒョロヒョロと成長していること、間伐による年輪幅の変化、枝打ちの優劣、枝打ちから「無節」になるまでの年数、も見えます。【体験3】帯鋸の不良も教材になる刃先のステライト(耐摩耗・耐高温の合金)の部分が数個欠けているだけで、挽き肌は荒れて「洗濯板状」になります。切り屑がうまく排出できないと切削効率が下がるのは、チェーンソーと同じであり、学生も実感しやすいようです。【体験4】曲がり材は嫌われる丸太を送材車にのせると、立木や、造材の時よりも、曲がりがよくわかります。「素材のJAS」の曲がりの定義は、「直径に対する内曲面の最大矢高の割合」です。「いくらの大きさの角材がとれるか」という視点です。曲がり材を挽いて、歩留まりの悪さや、目切れを体験します。曲がり材を梁に使う例にも触れます。【体験5】大径材の実態を知る最近は、大径材も伐出されます。元玉からは、梁桁材の二丁取りや柱材の四丁取りも、心去りで可能です。ところが、風などの外力を受けて育った丸太は、髄(心)を中心に挽き割ると、左右に開いて大きく反る傾向があります。修正挽きすると更に反り、大きな目切れも生じて使えません。元玉の中MORINOTAYORI 12