ブックタイトル森林のたより 821号 2022年2月

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概要

森林のたより 821号 2022年2月

プログラム紹介!!岐阜県立森林文化アカデミー内にある森林総合教育センター(愛称morinos)で実施しているプログラムについてご紹介します!今回は、自然体験活動指導者向けプログラム「木読(もくどく)講座・危険木の見分け方と木を読む楽しみ方」です。森林空間を活用した自然保育や森のようちえん活動、また、一般利用者が多く利用する公園などでも大切な、危険な木の見分け方やその対処方法に関する講座で、森のようちえん指導者、保育士、自然体験活動指導者など25名が参加しました。講師は、木の形や状態を、まるで本を読むかのように解読し、何が起きたか、危険木はどれかなどについてお話ししてくれる樹木医の三戸久美子さん(NPO法人樹木生態研究会)です。現地研修では、関市立田原保育園のみなさんが日常的に森林活動されている現場を舞台に、保育園児たちも参加して実践的に学びました。まずは室内で、本日学ぶことである「V.T.A法(※1)」、「樹木の特性を理解する」、「木の危険性を知る」、「樹種による強弱を知る」の4項目のシェアリングです。例えば3つ目の「木の危険性を知る」なら、1枯れ枝や掛かり枝の理解、2構造的に弱い部分、3腐っている部分などです。木の腐朽した部分について見れば、白色腐朽菌に侵された場合は、木部の強度が低下するため生きた組織が強度を増やそうと細胞を増やし、結果として全体的に膨らんでくるから腐朽していることが分かります。しかし褐色腐朽菌に侵された場合は、リグニンが分解されていないため樹木は強度低下が少なく、樹木自体が強度を増さなければならないと認識しないため、逆に危険となります。例えば、クスノキは樟脳が含まれ耐腐朽性が強いため、枝が折れても腐ることなく枝痕を巻き込んでいます。しかし枝が長く伸びすぎることも多いため、強風の時にはその枝が折れることも多々あります。だから風が強い時にはクスノキの下では遊ばせないことも考えましょう。室内での講義講師の三戸久美子さん(左)※1 V TA(V i s u a l Tree Assessment)とは、ドイツのクラウス・マテック博士らの開発した樹木診断方法で外観診断、精密診断及び樹木の物理的強度を評価して樹木の健全度を判定する方法ブランコを設置しているソヨゴ枝が巻き込んでいる部位の解説現地に行くと、台風で斜立したソヨゴに手づくりブランコが設置されています。しかしこの木をよく観察すると、太い大きな枯れ枝が載っている、ロープを掛けてある部分の70cm幹元には大きな腐朽がある、根元から数本生えている幹の中には腐朽が進行してカワラタケが付いているなど、いろんな視点から、様々な危険を示唆されました。また、近辺にはコナラとソヨゴが多く生えていますが、樹種ごとに強度が違うことや根の深さが違うこと、危険を様々な視点で見ないと分からないこと、また現場の風当たりや土壌の水分環境などによって、そこにある樹木がどのように成長してきたかなどをつぶさに解説され、研修会が終了しました。森林空間を活用した活動において事故が発生すると、被害を受ける方はもちろんのこと、その森を日常的に利用している個人、団体や管理者に大きな影響が発生します。そのため、事故が起こらないように、日頃から、見回りや安全点検を行い、危険木を見分けて対処することが大切だということを改めて感じた研修会でした。こうした研修会もmorinosのHPで開催をお知らせしています。(新型コロナウイルス感染防止対策の状況により実施しない場合もあります。)興味を持ってくださった方は、morinosのホームページ、YouTube動画をご覧ください。ホームページhttps://morinos.net開所時間10:00~16:00YouTube検索「morinosチャンネル」定休日毎週火・水曜日morinosHPYouTube「morinosチャンネル」9 MORINOTAYORI