ブックタイトル森林のたより 823号 2022年4月

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森林のたより 823号 2022年4月

活かす知恵とを森林人111●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで「木工家のための広葉樹学」オンライン講座開催岐阜県立森林文化アカデミー教授●久津輪雅講座を終えてスタッフで記念撮影。横井秀一さん(左下)、大滝絢香さん(左上)、山路今日子さん(右下)、筆者(右上)。の枚数は実に約240枚、しかも森の中でご自身が撮影(!)した写真を使っての解説です。広葉樹の流通や、持続的利用のための森の管理のあり方についても話してもらい、オンラインでも質疑応答は盛り上がりました。参加者からは「森の中の一つ一つの樹種が個性ある生き物として感じられた」など、多くの感想をいただきました。これからの地域材活用に、きっと役立ててもらえると思います。森林文化アカデミー木工専攻の卒業生、大滝絢香さんと山路今日子さんに運営と司会を担ってもらい、横井さんとともに講座内容を練り上げて実現できたのも嬉しかったことです。アカデミーの教員や卒業生たちがハブとなり、これからも森と人をつなぐ講座を提供していけたらと思います。「これはカツラ。川が氾濫して森が撹乱されると出てくる樹種です。樹形は通直性が高いから、木工には使いやすいですよね」画面越しに解説するのは森林文化アカデミーを退職してフリーランスになった広葉樹のスペシャリスト、横井秀一さん(造林技術研究所代表)。聴講生は全国各地の木工家たち。12月から1月にかけて実施した「木工家のための広葉樹学」というオンライン講座の様子です。最近、地域材を活用したものづくりや里山の整備に積極的に取り組む木工家が増えています。背景には、地域経済が疲弊して地域の森林資源に価値を付けることが求められるようになったり、日本の経済力が低下して外国産広葉樹が入手できず国産材に頼らざるを得なくなったという経済的な理由もありますが、環境意識が高まり身近な森を保全活用したいと考える人が増えてきたことが大きいと思います。木工家は森と人との間に位置する存在で、物を作る役割だけでなく森や自然のことを分かりやすく地域の人々に伝える役割も担うようになりました。そんな中、ひとつ課題が。それは木工に携わる人が、実は森のことや生きている樹木のことをあまり知らないことです。私自身、学校で木工を学んだ時は樹木の生態についての授業は少なく、技術を学ぶだけで精一杯でもあったため、生きている樹のことは詳しくないのです。そこでこの講座を企画したのですが、一つヒントがありました。それは飛騨市が2020年度から開催している「広葉樹のまちづくり学校」。広葉樹活用を軸とした地域づくりの人材育成のため、森や木に関わる市内外の人を対象とした連続講座です。横井さんが森の中で広葉樹の生態を解説する回があり、参加している木工家たちから様々な質問が出て、講師との間で活発なやりとりが交わされる場面があったのです。この学びを全国の木工家にも提供したい、と思ったのでした。本当は飛騨市の森で開催したいところでしたがコロナ禍のためオンラインに。しかし申し込みは全国から集まり、オンラインのメリットも感じました。1回目の定員15人は募集から24時間で埋まるほどの人気ぶりでした。横井さんには木工で使われることが多い21種類の広葉樹について、主な生育地ごと(水辺、撹乱地、成熟した森など)に解説してもらいました。2時間の講座が2回セットで、スライド講座の広報用の画像(大滝絢香さん製作)MORINOTAYORI 12