ブックタイトル森林のたより 823号 2022年4月

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概要

森林のたより 823号 2022年4月

岐阜県森林研究所●和多田友宏●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所まで小型バックホウで崩壊しにくい盛土の硬さを得るためにはおわりに今回の試験では、小型バックホウにおいては、締固め回数を5回としたとき、厚さ0.1m程度ごとに締固めることが、盛土の崩壊リスクを下げることに効果的であることがわかりました。盛土の崩壊リスクを下げるには、使用する機械に最適な施工方法を行う必要があります。今後は、小型バックホウにおいて締固め層の厚さや締固め回数などの条件を変えた試験を行い、最適な施工方法を検討します。※Nd値:質量5kgのハンマ(おもり)を50cmの高さから自由落下させたとき、貫入コーンを10cm貫入させるのに要した打撃回数を求めたものはじめに林内路網(林道・林業専用道・森林作業道)の整備は、森林管理においても、木材生産においても重要です。その中でも、切土や盛土などの「土構造」を基本とする森林作業道では、崩れにくい路体にするため、盛土を締固めて硬くすることが重要となります。岐阜県森林作業道作設指針では、0.3m程度の層ごとに締固めるよう定められていますが、小型バックホウ(重量約3.3t、バケット容量平積0・06m3)のバケットを用いて締固めた場合、締固めが不十分であることを森林のたより第813号(2021年6月)で紹介しました。今回は、同じ小型バックホウを使って締固める場合、締固める層の厚さで盛土の硬さが変わるのかを確認しました。試験方法試験は、平坦な地盤を掘り下げて作成した溝(深さ0.9m、幅0.6m、長さ3.0m)に土を敷均して、それを締固める作業を森林作業道の盛土の締固め作業と想定して実施しました。また、締固め作業の1工程分(以下、1層とする)の厚さは、0.9m程度のもの、0.3m程度のもの(図―1右)およびバケット1杯分の厚さ0.1m程度のもの(図―1左)の3種類としました。敷均しには掘り取った土砂(砂質土)を使用し、締固めはバックホウのバケット部を用いて5回ずつ行いました。盛土の硬さは、簡易貫入試験により求めたNd値※を用いました。簡易貫入試験は試験箇所を変えて、試験種類ごとに3回実施しました。試験結果過去の試験において、盛土崩壊発生箇所のNd値は、5未満である場合が多いことが報告されています。そこで、試験種類ごとにNd値が5以上となった割合を求めました(図―2)。Nd値が5以上となった割合は、1層の厚さが0.9mの場合は0%、1層の厚さが0.3mの場合は約41%であったのに対し、1層の厚さを0.1m程度とした場合は、約81%でした。このことから、小型バックホウで盛土を締固める場合には、厚さ0.1m程度ごとに5回締固めることが、盛土の崩壊リスクを下げることに効果的であることがわかりました。図-21層の厚さ別のNd5以上の割合1層の厚さを0.3m程度で下層を締固めた例1層の厚さを0.1m程度で下層を締固めた例図-1試験の模式図MORINOTAYORI15