ブックタイトル森林のたより 824号 2022年5月

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概要

森林のたより 824号 2022年5月

国有林の現場から67滝波谷における治山事業の取組令和2年度に崩壊地の地質調査を行い、崩壊地のデータも解明してきたことから、今後の復旧計画に活用して行きたいと思います。?取組の経過滝波谷の荒廃の大きな特徴としては、上流域では崩壊地から生産された土砂が土石流となって本流を流れ下り、また、中流域では渓床部にあった土砂が起源となって土石流が発生していることが、現地調査による地形確認や石礫の分布状況から分かりました。また、平成25年と平成30年の航空レーザ測量による差分解析図により流域内令和4年1月26・27日に中部森林管理局主催の「令和三年度中部森林技術交流発表会」がWEBで開催されました。岐阜森林管理署からは、板取川治山事業所がコンサルタント会社と共同で発表しました。今回はその発表概要を掲載します。?背景平成30年の7月豪雨により、板取川上流域の滝波谷では大規模崩壊地が発生し崩壊土砂が土石流となり、下流域の観光業や漁業に大きな被害を及ぼしました。滝波谷は、平成16年度より着手している「板取川地区民有林直轄治山事業」に隣接する流域であることから、令和元年度に区域拡大されました。また、トモグラフィ法による解析では、6地点で低速度帯が認められ、固い岩盤の下に隠れている脆い層を見分けることができました。?考察滝波谷の全体計画を策定する上で第一に下流域の保全を考え、流域からの土砂流出を抑止するために、渓流部分に渓間工を配置します。コスト縮減・工期短縮・発生土砂抑制に有効な工法であるインセムダムを採用し、その下流に流域からの流木の流下を防ぐスリットダムを配置します。崩壊地については、未だに活発な土砂生産活動が認められることからモニタリング調査を続け、今回のデータを活用しながら復旧方針の策定を図りたいと思います。(岐阜森林管理署)の土砂の堆積や崩壊地の侵食状況について把握することができました。治山事業においては、限られた工期と予算の中で最大限の効果が期待される治山工事を確実に実施する必要があり、そのためには崩壊地の現状を知り、今後の荒廃の推移を把握することが重要です。令和2年度において次の調査解析を実施しました。?レーザ測量による差分解析?崩壊地の地質構造把握のためのボーリング調査?弾性波探査による地下の速度構造解析?実行結果地質構造を把握するために7箇所でボーリング及び標準貫入試験を行いました。この付近の基盤岩は中生代の溶結凝灰岩で、上部には崩落した土石が10m前後の厚さで堆積しています。弾性波探査では、4層構造で下へ行くほど固い岩盤であることが分かり、3地点では脆弱な地層も確認されました。▲トモグラフィ法による解析▲滝波山の大規模崩壊地▲崩壊地の源頭部▲滝波谷の被害状況MORINOTAYORI 20