ブックタイトル森林のたより 826号 2022年7月

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概要

森林のたより 826号 2022年7月

国有林の現場から69多様な森林づくりを目指した針広混交林造成のか検討しました。生存本数は図1のとおりで、スギの本数はほとんど減少していませんが、広葉樹は大きく減少しています。平均樹高は図2のとおりで、混交林区では、スギが広葉樹を上回り、無処理区では、広葉樹がスギを上回って成長しています。谷筋である混交林区と斜面である無処理区の土壌条件の違いが成長に影響したものと思われます。前号に続いて「令和三年度中部森林技術交流発表会」で森林技術・支援センターが発表した、広葉樹導入による針広混交林化の適切な施業方法の考察について概要を掲載します。●はじめにこれまでに設定された針広混交林造成試験地について、蓄積された調査データや終了した試験地のその後の状況を再調査し、針広混交林化の適切な施業方法を考察しました。1スギ人工林の広葉樹混交育成法試験地S57年植栽(3100本/ha)のスギ人工林で、試験地として、S62年にスギ、広葉樹を残し刈払を、H7年に除伐(2類)を実施し、スギ、広葉樹ともに成長促進を図った混交林区、S62年以降保育作業を行っていない無処理区、一般的な施業でスギを育成した人工林区の3か所を設定。H11年に調査を終了し、H27年には全区域で除伐(2類)を実施。今回は、混交林区、無処理区について、現在の立木及びH27年に除伐(2類)により伐採されたスギ、広葉樹の伐根等を調査し、樹高曲線等を用いて除伐前の林分状況を推定、どのように林況が変化したに間伐が必要となっています。4ヒノキ壮齢人工林内の侵入広葉樹S9年植栽(5000本/ha)のヒノキ壮齢人工林、調査地(10m×10m)での調査結果は表1のとおりです。ここはケヤキ最適地で、S45年頃のヒノキの伐採により再度ケヤキが侵入し、二段林が形成されたものと思われます。ケヤキが最上層、次にヒノキ上層木、下層はヒノキ、ケヤキが競合している状態です。侵入広葉樹はケヤキのみですが、ほぼ理想的な木材生産を目指す針広混交林が形成された林分であり、適地の場合は容易に広葉樹が侵入し針広混交林が形成されるものと思われます。●おわりに侵入広葉樹を活用し木材生産機能を持つ針広混交林を造成するためには、早い段階から林内の光環境改善のため、造林木、広葉樹の本数調整等、造林木も含めた保育作業が必要と考えます。その中で、樹高8~10m程度で広葉樹の立て木を選抜することが有効であると考えられ、選木には林地条件を勘案した樹種選定が重要です。(森林技術・支援センター)2単層林への侵入広葉樹を活用した針広混交林造成試験地H9年植栽(3000本/ha)のヒノキ人工林で、植栽列の2列4m及び1列2mの除伐を省略し、2列除伐省略区は2残2伐、2残4伐、2残6伐、1列除伐省略区は1残2伐、1残4伐、1残6伐と除伐省略割合を変えて、成長量調査を行いました。除伐を省略した幅が広いプロットの侵入広葉樹は、樹種数も多く樹高成長もよくなっていますが、省略幅が1列のプロットではヒノキが広葉樹の樹高を上回り、ヒノキと同程度あるいは抜け出した個体のみが今後も成長を続けていくものと考えられます。3ヒノキ二代目造林実験地一代目のヒノキ人工林皆伐後、S41年にヒノキとハンノキ類各4500本/haを縦・横の筋状に混植した造林地です。植栽時からハンノキ造林地には広葉樹が徐々に侵入したものと思われ、H13年では筋状の針広混交林(写真1)を形成しています。横列区(幅6m)の方が縦列区(幅4m)に比べて侵入広葉樹の本数が多くなっており、区域幅の違いによるものと思われます。樹高はどちらもヒノキと同程度の個体も多くなっていますが、枝下高が高く下層植生も乏しく、今後は樹冠を広げ肥大成長促進のため0.933.825.2411.830.05.010.015.0S62 H7 H11 H27混交林区(平均樹高)スギ広葉樹0.822.98 3.2112.600.05.010.015.0S62 H7 H11 H27無処理区(平均樹高)スギ広葉樹0100020003000400050006000S62 H7 H11 H27混交林区(本数/ha)クリ他ミズナラブナホオノキミズメスギ0100020003000400050006000S62 H7 H11 H27無処理区(本数/ha)クリ他ミズナラブナホオノキミズメスギ(14775/ha)(本数/ha):広葉樹計mm(11450/ha)(1800/ha)(6875/ha)(775/ha)(1750/ha)(175/ha)(125/ha)本数調整伐図1図2H13写真1表1ヒノキ:900本/ha上層木:400本/ha,DBH:31cm, H:22m下層木:500本/ha,DBH:19cm, H:14mケヤキ:400本/ha上層木:200本/ha,DBH:38cm, H:26m下層木:200本/ha,DBH:26cm, H:16mMORINOTAYORI 20