ブックタイトル森林のたより 832号 2023年1月

ページ
3/18

このページは 森林のたより 832号 2023年1月 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

森林のたより 832号 2023年1月

明けましておめでとうございます。皆様にはお健やかに新年をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。本県では、この1月から新県庁舎の供用を開始しています。新しい庁舎には、外壁に県産タイル、内装にヒノキをはじめとする県産材や美濃和紙が活用されており、来庁者の方々が憩うスペースには、飛騨や美濃の家具が設置されています。新県庁舎そのものが「清流の国ぎふ」のショーウィンドーとなっておりますので、皆様もぜひ一度お立ち寄りください。なお、貴協会及び岐阜県木材協同組合連合会、岐阜県森林組合連合会の3団体には、旧庁舎に設置の木製衝立4台を修繕していただきました。改めてお礼を申し上げますとともに、新庁舎でも大切に使わせていただきます。さて、昨年8月の豪雨により、岐阜市鶯谷地内で山腹崩壊が発生し、鶯谷トンネルが一時通行止めとなったため、土砂流出防護用ネットを設置するなどの応急対策を実施し、その後、恒久的な対策として、法枠工等の治山工事を進めています。このような頻発化する災害に対して、昨年度から始まった森林整備と治山施設整備を組み合わせた「事前防災モデル地区」の整備を、市町村や林業事業体と連携して全県展開することで、山地防災力の強化に取り組んでいるところです。また、2050年カーボンニュートラルの実現やSDGsの達成など、森林・林業に求められる役割がますます大きくなる中、あらゆる分野における県産材の利用を強力に進める必要があります。そのためには、県民、企業など全ての人のご理解、ご協力が不可欠であることから、「岐阜県木の国・山の国県産材利用促進条例」を今年の4月1日に施行することとしました。この条例では、県産材の需要拡大のため、県産材住宅ばかりでなく、非住宅建築物の木造化や内装木質化を推進するとともに、県産材の多段階利用や新分野における木質バイオマスの利用を促進するなど、「オール岐阜」体制で県産材を利用する仕組みづくりを進めていきます。具体的には、県と事業者との間で県産材の利用促進に関する協定を締結し、事業者へ支援を行うほか、県産材を使用した建築物等に対して炭素貯蔵量を認定・公表することを考えています。まずは、具体的なアクションプランである「県産材利用推進計画」に基づき、県の建築物等における木造化・木質化を進めていきます。さらに、豊かな森林空間を活用し、健康、観光、教育など、様々なサービスを提供することで雇用を生み出し、山村の活性化に繋げる新たな産業「森林サービス産業」を普及・促進していきたいと考えています。このため、今月27日には、事業化への課題解決や効率的な事業展開に向けた「森林サービス産業推進協議会」を設立します。また、「ぎふ木育」の全県展開を目指した木遊館サテライト施設の整備や岐阜県独自の森林吸収クレジット制度である「Gクレジット(仮称)」についても検討を進めています。結びになりますが、本年が岐阜県の森林・林業・木材産業の飛躍の年となりますよう祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。年頭のご挨拶(公社)岐阜県山林協会会長日置敏明明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。新型コロナウィルス感染症も、依然として「第八波」拡大の懸念はあるものの、大きな流れとしては「ウイズコロナ」、「アフターコロナ」の局面に入ってきたように思われます。今年は、県民生活及び社会経済活動の両面において更なる改善が実現し、私たちの生活全般がコロナ前に近づくことを祈っています。さて、岐阜県においては、ここ十年間で、合板工場をはじめ、製材工場、木質バイオマス発電施設など大規模な工場の稼働により木材需要が拡大しました。これに対応して川上では路網の整備や機械化が進んだ結果、木材生産量は約二倍の五八万m3まで増大し、その基盤を支える山村地域の活性化が図られてきました。しかしながら、三階建て以下の住宅の木造率は八割を超えていますが、商業施設などの非住宅建築物や中・高層建築物では僅か一割程度であるとも聞いており、山村地域の活性化の視点からも、木材の需要先のさらなる開拓が求められています。一方、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現やSDGsの達成など、森林・林業に求められる役割はますます大きくなっており、大気中の二酸化炭素の吸収を促す森林整備の推進に加えて、炭素を長期間貯蔵するという観点から、住宅や家具等への木材利用を強力に進める必要があります。こういった中、昨年の六月県議会において、知事から、「県産材利用の拡大に向けては、第一に、非住宅建築物等の木造化を進め、需要の拡大を図る、二番目に、県産材を利用することによる炭素貯蔵量の認証制度、あるいは優良建築物等に対する表彰制度を創設するなど、企業の取組を後押しする、三番目に「ぎふ木育」を通じた県民への普及啓発を行っていく、四番目に、県自らも県有施設の規模に応じた木造化・木質化の義務づけを進めていく」との発言がありました。そして、その具体化として、昨年の十二月県議会において「岐阜県木の国・山の国県産材利用促進条例」が制定されました。この条例は、基本理念に、脱炭素社会の実現、循環型社会の形成、地域経済の活性化をあげており、県産材利用拡大を通じ、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現やSDGsの達成、山村地域の活性化に大きな効果を上げるものと大きな期待をしています。昨年は、本県では大きな山地災害の発生はありませんでしたが、八月には、隣県の福井県、石川県をはじめ北陸地方で大きな山地災害が発生しており、依然として、災害への対応は不可欠です。岐阜県では、これまでも治山事業や森林整備事業の推進により「災害に強い森林づくり」が進められてきましたが、県土の八十一パーセントを森林が占める岐阜県においては、防災・減災対策の視点からの治山事業や森林整備事業の推進による健全な森林づくりが、「県民の安全・安心の確保」の柱となることは言うまでもありません。当協会といたしましても、国や県に対する制度や予算の充実の要請等を通じて、防災・減災対策としての治山事業や間伐等の森林整備事業の推進に寄与してまいりたいと考えております。森林づくりは、「親が植え、子が育て、孫が伐って利用する」という三代にまたがる息の長い営みと昔から言われています。「植えて、育てて、伐って、利用する」森林づくりの原点は、資源循環型社会の姿そのものです。当協会といたしましても、こういった森林づくりの基本を踏まえ、岐阜県の豊かな森林の生み出す多様な恵みを、一◯◯年先の県民も享受できるよう、岐阜県の森林づくりと山村地域の活性化に取り組んでまいりますので、皆様の御支援を御願いいたします。結びになりますが、今年一年の皆様のご多幸を祈念しご挨拶といたします。新年のご挨拶岐阜県林政部長高井峰好のりわくこう新庁舎総合案内MORINOTAYORI3