ブックタイトル森林のたより 832号 2023年1月

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概要

森林のたより 832号 2023年1月

活かす知恵とを森林人120●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで至急情報求む!エゴノキの森を探しています!岐阜県立森林文化アカデミー教授●久津輪雅り、シカの被害を防ぎながら更新を促す取り組みを始めました。幸い、柵の中の切り株からはたくさんの萌芽枝がすくすくと育ち始めましたが、収穫まではまだ数年かかります。瓢ヶ岳でのエゴノキの収穫はひとまず2022年までとして、2023年秋からしばらく新しい場所で収穫を続ける必要がありそうです。実は傘ろくろを生産する木工所は、全国でも岐阜県岐南町に1軒しかなく、岐阜でエゴノキの収穫がストップすると日本中の和傘生産がストップしてしまいます。そうなると歌舞伎や日本舞踊などの芸能、神事や茶会などの行事と、和傘を用いるあらゆる伝統文化に影響が及びます。改めて希望する条件と連絡先を記します。条件に合う場所をご存知の方はぜひご連絡ください。岐阜県内、できれば美濃市近郊で、直径4?6センチの通直なエゴノキがまとまって生えている里山林、それも伐採・収穫の許可が得られる場所をご存知ないでしょうか。日本全国の和傘生産に欠かせない材料で、至急情報が必要です。この記事をお読みいただいた方は、心当たりがありそうな方にも拡散していただけると幸いです。ご協力をお願いします。エゴノキを用いて作られるのは、和傘の骨をつなぎ開閉するための部品、「傘ろくろ」です(写真1)。細い傘では直径3センチの傘ろくろの周囲に40本以上の切り込みを入れ、さらに糸を通すための穴も開けます。これだけの加工をしても折れにくい、しなやかな繊維を持つのがエゴノキなのです。他の樹種も試したものの固すぎたり折れやすかったりするため、エゴノキが最良とされています。伐採後1年以上乾燥させ、短く切って中心をくり抜き、樹皮を削って加工します。そのため傘ろくろの寸法より少しだけ大きい直径4?6センチが最も適しています。それより太いと削る量が多すぎて、加工が難しいのです。エゴノキを収穫するのは、かつては炭焼き職人の仕事でした。里山を皆伐した際に、エゴノキは炭にせずに和傘業者に販売していたのです。切られた株からはふたたびエゴノキが萌芽し、10年ほどで直径4?6センチに育つので、持続的に収穫することができました。萌芽更新で育った幹は通直で、加工にも適していました。岐阜の和傘業者のためにエゴノキを収穫する最後の人が2012年に亡くなり、森林文化アカデミーが協力して美濃市内にエゴノキの林を探し出しました。瓢ヶ岳の標高800メートルほどの場所にかつての水田跡があり、通直なエゴノキがまとまって生えていたのです。エゴノキは水を好むことから、水田跡は生育の適地だったようです(写真2)。それ以来毎年11月、この森に全国の和傘職人やボランティアが集まり、和傘材料をみんなで収穫する「エゴノキプロジェクト」を続けてきました。2メートルに切ったものを毎年2?300本収穫しながら、切り株から萌芽更新させて持続的に利用する計画でした。しかし更新は進みませんでした。原因は増えすぎたシカやカモシカです。切り株から出た萌芽枝のほとんどが食害に遭い、エゴノキがなくなってしまったのです。そこで2021年、県の森林・環境税を得て20メートル四方を柵で囲んだ「和傘の森」を作写真1写真2条件:●直径4?6センチ●通直で節や枝が少ない●2メートルに玉切りして2?300本の量が毎年必要●30?40人ほどが林に入り、作業ができる●搬出・運搬のための道路に近い●所有者から伐採の許可が得られる連絡先:エゴノキプロジェクト実行委員会代表長屋一男(有限会社長屋木工所)〒501-6003岐阜県羽島郡岐南町平島7-26058-247-2848rokuroya2518@gmail.com9 MORINOTAYORI