ブックタイトル森林のたより 839号 2023年8月

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概要

森林のたより 839号 2023年8月

普及コーナー揖斐管内における鳥獣害防止施設の設置後の状況について林業普及指導員立澤良子■揖斐農林事務所林業課助事業を受けているもの)では、幼齢木保護具の設置(単木保護)が行われています。また、防護柵の設置は行われていません。幼齢木保護具の設置にしている主な理由は、防護柵内にシカが侵入した場合の被害が大きいこと、植栽後の下刈りの際の誤伐を防ぐ効果が期待できるためです。幼齢木保護具は「くわんたい」と「チューベックス」を使用しています。・「くわんたい」はネットタイプの保護具で、袋状の保護カバーを植栽木に被せ土中に埋め込んだガラス繊維強化プラスチック製の専用ポールに固定するものです。・「チューベックス」は、チューブタイプの保護具で、筒状の保護カバーを植栽木に被せ、支柱に固定するものです。チューベックスを使用したところは、降雪があるところでしたので、支柱は耐雪仕様の4cmの径の木材を使用しました。幼齢木保護具(単木保護)設置後の状況・「くわんたい」の状況平成二十九年度に揖斐川町有林でスギが植栽され、植栽木保護材はくわんたいが使用されました。植栽後五年ほど経ち樹高は2mを超えるものが多く、成長は順調であると言えます。しかし、植栽木がシカの食害の恐れがない高さに成長したため、くわんたいを一部外したものについては、剥皮されているものがありました。幼齢木保護具を取り外す時期については、剥皮防除の面からできるだけ残しておいて、支柱が巻き込む前には外すというのがいいように思われました。また、ほとんどはまっすぐ成長していましたが、くわんたいの中で捻転したまま成長したものもありました。ヒノキについては、当管内での事例が少ないため今回紹介しませんが、頂端がスギより柔らかいため、より捻転する可能性が高いと思われます。近年の主伐・再造林が推進されて以降、揖斐管内では平成二十九年度の揖斐川町有林をはじめとして各地で主伐再造林が行われています。今回は、再造林の際に設置した鳥獣害防止施設の設置後の状況について紹介します。揖斐管内では、再造林に鳥獣害防止対策が欠かせない近年、ニホンジカ(以下、シカ)の生息数の増加により、農林業被害や森林生態系への影響の増大が懸念されているところですが、岐阜県の中でも西濃地域はシカの生息密度が特に高いとされています。また、平成二十八年の森林法改正において伐採後の適切な再造林と造林木の着実な成長を図る観点から対策を行うべき区域(鳥獣害防止森林区域)を明確にした上で当該区域において重点的に鳥獣害対策を行えるよう森林計画制度が見直されました。森林経営計画において鳥獣害防止森林区域内の森林で人工植栽を計画する場合は、被害防止対策が必須となっています。これらのことから、揖斐管内で再造林を行う際には、鳥獣害防止対策が必要となります。揖斐管内で行われている鳥獣害防止対策シカの生息密度が高い場合、鳥獣害防止に忌避剤を使用しても食害が防げないとされているため、揖斐管内(県の補剥皮されている植栽木くわんたいの中で捻転した植栽木MORINOTAYORI 14